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経済産業省と東京証券取引所が2021年6月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」。「日本の先進DX」といえる選定企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。東海東京フィナンシャル・ホールディングス傘下の東海東京証券は人工知能(AI)を活用したデータベースマーケティングに取り組み、重点顧客へのコンタクト率90%を達成している。

 「従来は個人顧客と営業担当者のやり取りが見える化されていなかった」。東海東京証券の土井亮太朗営業統括部営業統括グループマネージャーは同社が個人向け証券営業で抱えていた課題の1つをこう話す。個人向け営業では担当者の経験や技量により顧客に勧める商品の内容やタイミングなどにばらつきが生じる。同社はこれを標準化し、営業担当者がより成果を上げやすい環境をつくるため、AIを活用したデータベースマーケティングに取り組んでいる。

顧客の購買確率をAIが算出

 マーケティング用データベースは米Microsoft(マイクロソフト)のSQL Serverで構築した。データウエアハウスから月次で顧客データを取り込み分析する。マーケティング用データベースには商品の銘柄や保有銘柄数、残高、約定情報、営業担当のコンタクト履歴や入出金データ、顧客属性などを登録。そこに外部機関から得た株価情報や、年に1回程度実施する顧客アンケートの結果などの情報を追加する。これらの情報を独SAPの機械学習・予測分析システムであるSAP Predictive AnalyticsのAIによって分析し、該当月にどの顧客が商品を購入する「確率」が高いかをアウトプットする。

分析環境の構成
分析環境の構成
(出所:東海東京証券)

 AIが予測した情報は営業統括部が「商品別購買確率予測リスト」にまとめ、各営業担当者に配布する。「商品別購買確率予測リスト」では顧客全体を購買確率が高い順から5%ずつ、20のグループに振り分ける。グループ1は最も購買率が高い上位5%、グループ2は上位6~10%というように分類し、営業担当者が優先的にコンタクトを取る顧客を提示する仕組みだ。さらに、顧客ごとに買う確率が最も高い商品カテゴリーを「債券」「国内株」のように表示する。それ以外のカテゴリーの商品については、購買率のレンジ(20のグループのどれに属するか)を一覧で見られる。

AIがアウトプットする予測リストと「商品別購買確率予測リスト」のイメージ
AIがアウトプットする予測リストと「商品別購買確率予測リスト」のイメージ
(出所:東海東京証券)