防衛省から都道府県へと大規模接種が広がり、かかりつけ医の個別接種や職場接種も本格化する。予約や接種を巡っては混乱やトラブルも散見されるが、ITシステムやアルゴリズム、経済学などの知見を生かせば、大規模接種を円滑に進めることも可能だ。これまでに見えてきた課題を分析しつつ、改善方法を事例などを通じて提言する。

特集
ワクチン1日100万回接種へ、技術ができること
目次
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自衛隊の大規模会場でワクチン接種を体験、所要32分と迅速も残るカイゼンの余地
18~64歳を対象にした接種を始めた自衛隊の大規模接種会場。記者は一般の被接種者として東京会場に予約を入れ、2021年6月20日に新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた。その体験を踏まえ、接種会場のオペレーションをアルゴリズムの観点で分析する。
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驚きの1人15秒、福岡県宇美町にみる「ワクチン接種アルゴリズム」の6つのカイゼン
人海戦術に頼らない少数精鋭ながら、圧倒的なスピードで集団接種を進めている自治体がある。福岡県宇美町だ。1人の接種にかける所要時間は平均15秒。異例とも言えるハイペースで接種をこなせる背景には、考え抜かれたアルゴリズムとそれをさらに磨き上げるカイゼンの考え方がある。
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データ連携で接種加速、岡山「県内どこでも接種」埼玉「無連絡キャンセル0.6%」
新型コロナウイルスのワクチン接種体制が拡充している。国と都道府県、市区町村がそれぞれ集団接種を用意し、医療機関での個別接種も増える中で、接種を円滑に広げるには組織間の連携がカギを握る。
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「接種率85%」「申請済み9割超」、相馬市・加古川市に学ぶワクチン予約の知恵
政府は2021年6月10日、新型コロナウイルス対策のワクチン接種回数が2000万回を達成したと公表した。全国各地でワクチン接種が加速しつつある一方で、課題として浮上しているのがワクチン接種予約の需給が地域や会場で偏り始めていることだ。
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ワクチン接種予約がら空きの異変、予約の混乱改善の鍵は「脱先着順」にあり
国内で新型コロナウイルス対策のワクチン接種が軌道に乗りつつある。菅義偉首相が目標に掲げた接種回数「1日100万回」に対し、2021年6月からは1日60万回のペースをほぼ維持する。6月8日に発表した6月7日分の接種回数は前日比109万3504回増と、初めて政府目標を達成した。