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 ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の電気自動車(EV)「ID.3」の注目点の1つが、同社のソフトウエア開発基盤「vw.OS」を採用していることだ。

 vw.OSは、ECU(電子制御ユニット)や車種ごとに異なっていたソフト実行環境を、こうした違いに依存することなく共通化するというもの。これにより、車種やグレードごとに個別に開発する必要のあったソフトウエアを共通化し、ハードウエアのアップグレードや、センサーやアクチュエーターを容易に追加・削除・変更できるようになる。この結果、車両の制御やユーザーインターフェース(UI)などをアップデートする場合、車種やECUを問わず、移動通信網などを使って一斉に更新(OTA:Over The Air)できるようになる。米Microsoft(マイクロソフト)のWindowsが、さまざまなハードウエアに対して一斉にアップデートできるイメージだ。VWによると、従来の約70個のECUを最終的に3~5個の高性能コンピューターに集約し、その上で動作するソフトウエア基盤を「vw.OS」に一本化する計画である(図1)。

図1 vw.OSでハードウエアを抽象化
図1 vw.OSでハードウエアを抽象化
約70個のECUを、3~5個の高性能コンピューターに集約し、ソフトウエアの内製比率を60%に高める。(図:VWの資料を基に日経Automotiveが作成)
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 こうしたアーキテクチャーの採用では米Tesla(テスラ)が先行している。同社のEV「モデル3」は、ECUを、自動運転用の「オートパイロットECU」、UI用の「MCU(Multimedia Control Unit)」、ボディーコントロール用の「ボディーコントローラー」の3つに集約し、OTAで容易にアップデートできる体制を整えている(図2、3)。

図2 テスラ「モデル3」の車載ネットワーク
図2 テスラ「モデル3」の車載ネットワーク
オートパイロットECU、MCU、ボディーコントローラーの3つに集約されている。最終的にはVWもこの方向を目指しているとみられる。(図:日経クロステック)
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図3 テスラ モデル3 のボディー系ネットワーク
図3 テスラ モデル3 のボディー系ネットワーク
アクチュエーターやセンサーに“頭脳”は持たせず、ボディーコントローラーというECUのみで判断・制御を行っている。(図:日経クロステック)
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 では、ID.3は、vw.OSに向けてどのような変更がされているのか。日経クロステックがECUを分解・分析したところ、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワークでつながった、従来車種のECUを数多く使っており、発展途上であることが分かった。