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 ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の「ID.3」のE/E(電気/電子)アーキテクチャーを車載ネットワークという観点で調べたところ、米Tesla(テスラ)との設計思想の違いがくっきりと見えてきた。

 既報の通り、ID.3では、車種を超えたソフトウエア開発・実行環境「vw.OS」を採用している。オンラインでのソフトウエアアップデートによって、バグを修正したり、新機能を追加したりできるようにするのが、その狙いだ。これを実現するために、VWが選択したのが、「E3」と呼ぶE/Eアーキテクチャーである。具体的には、「ICAS(In-Car Application Server) 1~3」と呼ぶ3つの高性能コンピューターに判断/制御を集約する。ICAS1~3以外の電子制御ユニット(ECU)は、センサーから得た情報をICASに送ることと、ICASから受け取った制御信号に従ってアクチュエーターを動かすことを主要なタスクとする。こうすることで、アップデートの際、この3つのコンピューターを中心にファームウエアを更新すればよくなる。これまでは、判断と制御を各ECUが担う場合が多かった。

 これを実現するための車載ネットワークとして、VWが積極的に採用しようとしているのが、Ethernet(イーサネット)である(図1)。特に、先進運転支援システム(ADAS)用のカメラやセンサーからのデータ伝送、LTEや第5世代移動通信システム(5G)への接続、多チャンネルかつ広帯域の音楽再生などを実現するためには、現在のCANでは帯域が不足する。

図1 VWが推進するE/Eアーキテクチャー
図1 VWが推進するE/Eアーキテクチャー
中央のコンピューターで、すべての情報を収集管理し、制御する。データはすべてICAS1と呼ばれるECUでスイッチングされる。(図:VWの図を基に日経クロステックが作成)
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