全1912文字
PR

 「板チョコのような電池セルが入ってるよ」――。

 ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の電気自動車(EV)「ID.3」の分解プロジェクトは、電池パックを解体後、電池モジュール内部の調査に入った。電池パック自体の解体は驚くほど順調に進んだ。

 これまで分解してきた日産自動車の「リーフ」や米Tesla(テスラ)の「モデルS」「モデル3」のように電池パックに接着されたフタをバールではぎ取るようなこともせず、ボルトやコネクターを外していくだけで、9個ある電池モジュールを取り出せた(図1)。

図1 「ID.3」の電池パックの内部
図1 「ID.3」の電池パックの内部
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 しかも、水冷方式であるものの電池モジュールには冷却水が通り抜ける仕組みになっておらず、冷却水を気にせずに電池モジュールの脱着が可能である。ID.3の電池パックは、底面外側の1面からのみで電池モジュールを冷やす構造を採る。これで電池セルを冷却できるのかと甚だ疑問に思うのだが、電池パックや電池モジュールは非常にリサイクルしやすい設計になっていることが分かった。電池モジュールはクルマとしての利用を終えた後もモジュールとして再利用することを想定しているものとみられる。

 ただし、電池セル自体は取り出して再利用することは難しい。電池モジュールの筐体(きょうたい)は、アルミニウム(Al)合金押出材のケースの両端をAl鋳造品でレーザー溶接によって密閉しているため、修理・交換時などに電池セルを簡便に取り出すことはできない。電池モジュールの筐体を解体しても電池セルはさらに樹脂製のケースに覆われており、セル同士も接着されている。冒頭に戻るが、電池モジュールの外装を何とか切り出して、ようやく姿を現したセルは板状の非常に長いものだった(図2)。電池モジュールには電池セルが24枚、垂直方向に立てて並べられていた。

図2 「ID.3」の電池モジュールの外装を取り外した様子
図2 「ID.3」の電池モジュールの外装を取り外した様子
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 セルを取り出して外形寸法を測ると長さ514mm×高さ98mm×厚さ9mmで、重さは1.07kgだった(図3)。公称電圧は3.67Vである。電池のセルおよびモジュールの製造を担当するのは韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)である。同社は韓国LG Chem(LG化学)が2020年12月に設立した電池事業子会社。分解したID.3はLG Energy Solutionの設立以前に製造されたため、電池モジュールにはLG Chemのロゴマークが付いていた。

図3 「ID.3」の電池セル
図3 「ID.3」の電池セル
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]