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 土地や建物(Property)の活用に、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの技術(Technology)を導入し、利便性の高いサービスや製品を生み出したりする取り組みを意味する「プロップテック(PropTech)」。『100兆円の巨大市場、激変 プロップテックの衝撃』(日経BP)の著者が、フィンテック(Fintech)不動産版とも呼ばれる「最後の金脈」の可能性を解説する。(構成:小林由美=facet)

 前回は、先日事業売却となった、スマートフォンなどで簡単に契約できる不動産賃貸サービス「OYO LIFE」を取り上げました。今回は、プロップテックについて、もう少し掘り下げて詳しく解説していきます。

 前回解説したOYO LIFE は、この連載のテーマである「プロップテック」と呼ばれる分野のビジネスの1つです。国内でも、プロップテック関連のスタートアップ企業が増えてきています。

フィンテックのようにスタートアップが業界を変えていく

 プロップテックは、「Property(土地や建物)」+「Technology(技術)」を組み合わせた造語です。日本でこの言葉が聞こえてくるようになったのは、まだここ数年の間。なので「聞いたことがない」という人も、まだ多いかもしれません。そういう意味でも、ビジネスチャンスが大いにあるといえます。

桜井 駿(さくらい・しゅん)
桜井 駿(さくらい・しゅん)
デジタルベースキャピタル 代表パートナー。みずほ証券、NTTデータ経営研究所を経て、2019 年にデジタルベースキャピタルを設立。規制産業領域であるPropTech、Fintechのスタートアップ投資・育成、大手企業向けのデジタル戦略、DXに関するコンサルティングを行う。不動産・建設領域のスタートアップコミュニティ「PropTech JAPAN」の設立や、一般社団法人Fintech協会事務局長、経済産業省新公共サービス検討会委員などを歴任。著書に、『決定版 FinTech』(東洋経済新報社、共著)、『知識ゼロからのフィンテック入門』(幻冬舎)、『超図解ブロックチェーン入門』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。(写真:栗原克己)
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 プロップテックの一例としてよく知られているのが、不動産業での「VR(仮想現実)内見」です。借りたい、あるいは購入したい部屋の中をVRゴーグルや360°ビューで確認できるようにする仕組みです。ここで言う「テック」は、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった先端技術を適用することを指します。すなわち、不動産と先端技術を掛け合わせることで、新市場や新サービスを開拓し、業界にイノベーションを起こすことがプロップテックの概念です。