全3658文字

 米Google(グーグル)のプロフェッショナル向けクラウドサービス「Google Cloud」の活用法を解説した書籍『ハンズオンで分かりやすく学べるGoogle Cloud実践活用術』シリーズ。2021年5月に発行された「AI・機械学習編」に続き、7月には「データ分析・システム基盤編」も登場した。こちら2冊を現役のエンジニアである小山哲志さんにレビューいただいた(技術メディアユニットクロスメディア編集部)

 『ハンズオンで分かりやすく学べるGoogle Cloud実践活用術』シリーズは、開発者や研究者などプロフェッショナルに向けた米グーグルのクラウドサービス「Google Cloud」の具体的な使い方を、多くの画面キャプチャーを使って実際に試すことができるようにハンズオン形式で解説した書籍です。

プログラミングほとんどなしで機械学習できる

『ハンズオンで分かりやすく学べる Google Cloud 実践活用術 AI・機械学習編』
『ハンズオンで分かりやすく学べる Google Cloud 実践活用術 AI・機械学習編』
(日経クロステック編集、大澤文孝 著/日経BP)

 「AI・機械学習編」「データ分析・システム基盤編」の2巻構成で、AI・機械学習編はグーグルのAI技術に特化しており、以下の技術が取り上げられています。

  • 「Cloud Speech-to-Text API」で音声をテキストに変換する
  • 「Auto ML Tables」で機械学習モデルを自動で学習させる
  • 「BigQuery ML」でビッグデータの学習モデルを作る

 AI・機械学習を実際に試そうとすると、まず大量のデータを用意するのが大変で、それが壁になることがよくあります。本書ではGoogle Cloudが用意しているサンプルデータセットを使っているので、手間を掛けずにハンズオンで機械学習の使い方を学べます。

 一部Python言語でプログラムを記述する部分はありますが、機械学習のロジックそのものをがっつりプログラミングするものではなく、言語そのものの知識はほとんど必要ありません。クラウドと機械学習の概略を学ぶために、可能な限りプログラミングに頼らずに解説しています。

クラウド技術の中級者向け

 続刊となる「データ分析・システム基盤編」では、以下の技術が取り上げられています。

  • 「BigQuery」でビッグデータを解析する
  • 「Dataflow」でリアルタイムに分析する
  • 「Google Kubernetes Engine(GKE)」を用いてコンテナベースのサービスを構築する

 クラウド技術の入門としては仮想マシンとオブジェクトストレージが定番ですが、その先にある中級者向けの技術を分かりやすく解説した書籍は、貴重だと思います。

 以下では「データ分析・システム基盤編」の内容を紹介します。

 BigQueryはグーグルが誇るビッグデータ分析サービスで、Google Cloudの圧倒的なアピールポイントの一つとなっています。多くのデータを高速で解析し、そこから何らかの指標を見つけることが、現在の多くのビジネスに求められています。BigQueryはグーグルが保持する莫大なコンピューターリソースを利用して、あたかも巨大なスプレッドシートのようにデータを扱うことができるサービスです。「使った分だけ支払う」クラウドの思想はもちろん生きていて、比較的リーズナブルな価格で利用できます。

 本書ではBigQueryの使い方を学ぶために、BigQueryのプリセット公開データであるGitHubのコミット情報を用いて実際にクエリを試していきます。数億件のコミット情報に対して、単純なクエリなら1秒以下、多少複雑なクエリでも数秒で結果が返ります。そしてなぜこのように高速に処理できるのか、その仕組みの解説にもきちんとページを割いています。