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脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス
脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス
著者●井熊均、王婷、木通秀樹、瀧口信一郎/定価●2090円(10%税込み)/発行●日経BP/判型●四六判336ページ/発行日●2021年11月8日/ISBN 978-4-296-10911-1

 100万人の雇用と、15兆円もの貿易黒字が失われかねない――。

 トヨタ自動車の豊田章男社長が〝必死の警告〟を続けている。菅義偉前首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」に日本自動車工業会(自工会)の会長として賛成したうえで、このままでは「産業が崩壊する」と発言している。脱炭素に後れを取ると、自動車が輸出できなくなり、最大の輸出産業の雇用が失われるという危機感からだ。

 なぜトヨタがそこまで焦るのかーー。それはカーボンニュートラルがこれまでのビジネスルールを一変させ、既存産業を崩壊させる新たな産業革命だからだ。これにいち早く気付いた中国が独走。それに必死で追随するのが米国という構図になっている。

 日本のビジネスマンのカーボンニュートラルへの意識は明らかに低い。その原因の一つには、カーボンニュートラル、つまりゼロカーボンは「影響範囲が大き過ぎる」ということがあるだろう。さまざまな立場の人が、それぞれの視野の範囲内でゼロカーボンを語ることが多いために、この問題は矮小(わいしょう)化されやすい。しかし、ゼロカーボンは極めて多様な範囲に影響を及ぼす。

 事業環境を壊す気候変動、企業を追い込むESG(環境・社会・企業統治)潮流、脱炭素市場での中国の独走……。本書がつづる現実は、21世紀の企業の盛衰は脱炭素が握ることを示している。新たな経済競争「ゼロカーボノミクス」の勃興を直視し、今すぐ動き出さなければ日本企業に未来はない。

脱炭素で変わる世界経済
ゼロカーボノミクス

著者●井熊均、王婷、木通秀樹、瀧口信一郎/定価●2090円(10%税込み)/発行●日経BP/判型●四六判336ページ/発行日●2021年11月8日/ISBN 978-4-296-10911-1