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 かつて、経営危機に陥ったいすゞ自動車は部品の種類数を100万点から30万点に激減させて、抜本的なコスト削減を実現し、見事再建を果たした。そのときの部品数削減活動の陣頭指揮を執った伝説の技術者・佐藤嘉彦氏が、経営者や管理者、技術者向けに『部品数マネジメントの教科書』を書き下ろした。

 本連載では、佐藤氏が開発した比較分析法「テアダウン(Tear Down)」を現場で実践しながら、長年交流を深めてきた盟友であるKSバリューコンサルティングの坂本幸一氏が、やはり現役時代に大なたを振るった部品数削減活動の体験談を明かす。第6回は、新規部品が増える真の原因を探る。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 産業車両・建設車両メーカーでVE(バリュー・エンジニアリング)推進部長として大阪で働いていたのに、新社長の鶴の一声で関東の工場の部品共通化推進室長に任命され、約4万点の部品を2年で30%削減する困難な目標の達成を命じられた筆者。一般部品と標準部品を30%削減するには「『入り』を制して『出る』を促す」必要があると考え、その第一段階として、無駄部品をあぶりだす「なんだっぺ?コール作戦」を実施。最終的にはサプライヤーを巻き込んだ無駄部品の削減活動まで進んだことを、前回ご説明しました。

なぜ新規部品が増えるのか、その理由を知る

 「入り」を制して「出る」を促す――。第一段階の「出る」を促すにある程度のめどが立ち、筆者たちは次にいよいよ本丸の「入り」を制する、すなわち新規部品の増加分をできるだけ抑える作戦の展開に入ります。ここでまずやるべきは、なぜ新規部品が増えるのか、その理由を知ることです。

 筆者が在籍していた会社では、図1に示すように部品番号(部番)が構成されていました。標準(規格)部品の部品番号は、そのことを識別するために先頭が「0」から始まり、その後は「類別」「性格(機能・サイズ)」と続きます。このように、標準(規格)部品の番号は意味付けされていることから、「ワケ(意味)あり部番」と呼ばれます。

図1 ワケ(意味)なし部番が近似部品や重複部品を生む
図1 ワケ(意味)なし部番が近似部品や重複部品を生む
(出所:筆者)
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 一方、標準(規格)部品とは異なり、図面1点ごとに個性のある一般(ユニット)部品の部品番号は、先頭が「1」や「2」で、その後は「機種」「部門」が表示されます。すなわち、どの機種(車種)のものか、どの部門で採番されたものかを示すコード番号が織り込まれているのです。筆者は、こうした一般部品の番号を「戸籍(生まれた所・番地)主義」の「ワケ(意味)なし部番」と呼んでいました。

 実は、こうした番号の付け方、とりわけ一般(ユニット)部品の番号の付け方に問題が潜んでいました。作図に追われた設計者は、「過去に同じような部品がないかと探すよりも、図面を描いた方が早い」と思ったら、図面化し採番してしまいます。すると、その過程で、過去の部品と同じような近似部品や全く同じ重複部品が発生してしまうのです。

 これは、一般(ユニット)部品の部品番号から種別や性格が分からないために対比ができないことと、戸籍が違う、すなわち図面化する場所が違うことから、仮に同一の部品でも全く別の部番が生まれることに起因しています。つまり、ワケ(意味)なし部番が無駄な部品を生んでいることになります。