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 かつて、経営危機に陥ったいすゞ自動車は部品の種類数を100万点から30万点に激減させて、抜本的なコスト削減を実現し、見事再建を果たした。そのときの部品数削減活動の陣頭指揮を執った伝説の技術者・佐藤嘉彦氏が、経営者や管理者、技術者向けに『部品数マネジメントの教科書』を書き下ろした。

 本連載では、佐藤氏が開発した比較分析法「テアダウン(Tear Down)」を現場で実践しながら、長年交流を深めてきた盟友であるKSバリューコンサルティングの坂本幸一氏が、やはり現役時代に大なたを振るった部品数削減活動の体験談を明かす。第8回は、部品数マネジメントに有効な、本当に「意味のある」部品番号について述べる。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 前回までで、近似部品、重複部品の発生を防ぐために「類似部品検索ファイル」を整備しました。続いて、我々部品共通化推進室は、設計部門の各グループで管理されていた採番台帳を回収。同時に、新しいルールを設けたのです。それは、部品共通化推進室長の許可がないと採番できないというもの。これにより設計者の行動は、それまでの「(部品を探すよりも早いと)図面を描く」から、「(類似部品検索ファイルを開いて)部品を探す」に切り替わりました。

 そんななか、「図面を描く」習慣にどっぷりとつかっていた、設計部門の課長級の人たちは、筆者のところにやって来ては、「仕事にならない。社長に言ってくださいよ」と、ぼやくばかり。対照的に、若手の設計者たちは喜々として「このファイルは面白い。勉強になる」と、筆者の席の後ろにある棚に足しげく通ってくれました。こうして、「入り」を制す取り組みが本格化したのです。

類似部品検索ファイルの意外な効果

 実は、この類似部品検索ファイルには「出る」を促す効果もありました。それまで無駄部品の抽出は、第5回で説明した「なんだっぺ?コール」に頼る、他力本願のところがありました。

 ところが、このファイルをひもとけば、近似部品や重複部品の無駄がおのずと浮かび上がり、我々から計画的に出るを促すことができるようになったのです。結果、類似部品検索ファイルの中には「使用禁止部品」が着実に増えていきました。

 さらに、類似部品検索ファイルの中がある程度「清浄化」されてきた段階で、我々は各図面に「部品特性コード」を振り、それを基に同ファイルの電子化に着手。CAD(コンピューターによる設計)ツールを使用する設計者は部品検索がいつでも可能になると同時に、部品共通化推進室では検索のアクセスカウンターにより各設計者の利用頻度を観察できるようになりました。

 以上見てきたように、我々は「なんだっぺ?コール」で現場の声を吸い上げたり、部品番号の構成や採番の管理、多品一葉図面に潜む問題にメスを入れたりすることで、近似部品や重複部品を見つけ出しては潰していきました。そして、出来上がった類似部品検索ファイルをひもとけば、部品の総洗いができるうえに、すべての近似部品、重複部品を把握・整理することが可能になったのです。