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 かつて、経営危機に陥ったいすゞ自動車は部品の種類数を100万点から30万点に激減させて、抜本的なコスト削減を実現し、見事再建を果たした。そのときの部品数削減活動の陣頭指揮を執った伝説の技術者・佐藤嘉彦氏が、経営者や管理者、技術者向けに『部品数マネジメントの教科書』を書き下ろした。

 本連載では、佐藤氏が開発した比較分析法「テアダウン(Tear Down)」を現場で実践しながら、長年交流を深めてきた盟友であるKSバリューコンサルティングの坂本幸一氏が、やはり現役時代に大なたを振るった部品数削減活動の体験談を明かす。第9回は、部品数削減活動を展開する上で大きな武器となった情報システムについて触れる。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 今回は、部品数削減に直接寄与したわけではありませんが、我々が活動を展開していく上で大きな武器となった情報システムについて述べておきたいと思います。

 当時、筆者が所属していた会社の情報システムはかなり遅れていました。電子データ処理(Electronic Data Processing、EDP)化を進めた際に、発注部門が手書きで所持していた取引先別発注原票をそのまま資材発注部品マスターとして取り込んだために、情報システムは次のようなものになっていました。

老朽システムに3つの課題

 第1に、EDPへのデータ取り込みが手入力でした。手順としては、手書きのインプット原稿からパンチ作業(パンチカードを作成)し、EDPに取り込むという流れでした。ちなみに、パンチ作業は後に、光学文字認識(Optical Character Recognition、OCR)による読み取り作業に移行しました。

 第2に、資材発注部品マスターのデータが、「車種別」→「取引先別」→「部品番号(部番)」→「発注属性」の順に付けられていました。しかも、これらすべてを1行にしたデータが1個の発注データとして存在しました。このため、仮に同じ部番でも、車種が異なれば別の発注データとして取り扱われていました。

 第3に、データの加工が硬直化していました。例えば、部品検索をする場合、発注先や部番などから自由に抽出することができず、あらかじめ設定された形の処理、しかもバッチ処理しかかないませんでした。従って、我々の当時の活動に役立つようなスピーディーなデータ分析はほとんど期待できなかったのです。

 こうした旧態依然とした情報システムを改善しないと、使い勝手が悪く、部品共通化推進室のメンバーには負担をかけてしまいます。そこで筆者は、パソコンに比較的明るかったメンバーに情報システムを徹底的に勉強してもらい、パソコンベースで作業ができるようにプログラム開発を命じました。