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 「誰でもアプリを開発できる」をうたい文句に紹介されている「ローコード開発ツール」。業務システム開発のプロは、その実力をどう評価したのだろうか。

 書籍『さわって学べるPower Platform ローコードアプリ開発ガイド』(日経BP)の執筆に当たり、大澤文孝氏と浅居尚氏の2人に、米マイクロソフトの「Power Platform」を使って社内部門向けアプリを開発してもらった。そこでの経験の範囲にはなるが、Power Platformに対するプロの本音を聞いた。(聞き手は、松山 貴之=技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

書籍向けのサンプルアプリとして、どこの会社でも便利で使えそうな「備品予約アプリ」を想定しています。これまで紙ベースで実施していた備品(いすなど)の貸し出し手続きを、スマホでできるようにするアプリで、複雑な機能はありませんが、実際に現場で使えるものを開発しています。大澤さんと浅居さんは業務システム開発の経験が豊富ですが、今回初めてPower Platformを使ってみて、戸惑いはなかったですか。

Power Platformで作成した備品予約アプリ
Power Platformで作成した備品予約アプリ
(出所:書籍『さわって学べるPower Platform ローコードアプリ開発ガイド』)
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浅居尚氏:Power Platformらしく開発できるように、識者に一通りレクチャーを受けてから取り組みましたので、何となく全体像をつかんだうえで開発を始めています。それでも、「普段使っている開発ツールと違う」と感じたことは何度もありました。

 例えば、データを削除する機能を開発していたときのことです。システム開発の常識として「いきなりデータを削除するのではなく、本当にデータを削除していいのかどうかをシステムの利用者に確認する」ことが必要だと思ったので、Power Appsではどのようにするのだろうと調査していたのです。

 私が考えていたのは、確認用ダイアログを表示する方法です。通常のプログラム開発なら1行か2行で済むように用意されていることが多いのですが、探してもPower Appsにそのような機能はありませんでした。確認用のダイアログを表示させようとすると、汎用的なウインドウを基に「はい」「いいえ」のボタンを配置して……といった開発作業が必要だったのです。「データを削除するときに、いちいち確認を求めない」という思想なのかもしれませんが、だとすると、その思想に戸惑うと思います。