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 かつて、経営危機に陥ったいすゞ自動車は部品の種類数を100万点から30万点に激減させて、抜本的なコスト削減を実現し、見事再建を果たした。そのときの部品数削減活動の陣頭指揮を執った伝説の技術者・佐藤嘉彦氏が、経営者や管理者、技術者向けに『部品数マネジメントの教科書』を書き下ろした。

 本連載では、佐藤氏が開発した比較分析法「テアダウン(Tear Down)」を現場で実践しながら、長年交流を深めてきた盟友であるKSバリューコンサルティングの坂本幸一氏が、やはり現役時代に大なたを振るった部品数削減活動の体験談を明かす。第10回は、筆者が以前所属していた部署で困っていた課題を部品数削減活動の一環として解決した事例を振り返る。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 前回は部品数削減を支えた情報システムに触れました。今回からは再び本題に戻り、部品数削減の事例を紹介します。

 筆者は、連載の第4回で述べた通り、東日本にある工場の部品共通化推進室の室長に任命される前は、本社の技術管理部門でVE推進部長を務め、さらにその前は、同じ本社の資材部門に長年所属していました。

 そんなわけで、古巣の資材部門のメンバーから次のような相談を受けました。

  • 「コンパニオンフランジ」の現状の調達状況は90種と多岐にわたる
  • その運用は、素材を他ユーザーの納入品と共通にするなど調達先に任せ切りで、ブラックボックス化している
  • 調達先から先ごろ、採算悪化を理由に供給撤退を申し入れられ、転注せざるを得ない

カオス状態だったコンパニオンフランジ

 「コンパニオンフランジ」とは、産業車両や建設車両の変速機やディファレンシャルギア(差動歯車装置)などの出力軸に取り付けられる継ぎ手のこと。かかる相談を受けた筆者は、この転注を機に、

  • 新規の引受先の開拓が急務である
  • 現状は、コンパニオンフランジの種類数がカオス(混沌)状態にあることから、ここで整理整頓、合理化しておかないと過誤を繰り返すことになる

と考えました。そして、部品数削減の一環として、

  • 「バラエティ・リダクション・プログラム(Variety Reduction Program、VRP)」の「『固定』+『変動』」で解決を図る

と、方針を固めたのです(図1)。

図1 コンパニオンフランジをバラエティ・リダクション・プログラム(VRP)で改善へ
図1 コンパニオンフランジをバラエティ・リダクション・プログラム(VRP)で改善へ
(出所:筆者)
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 我々が採用を決めたVRPとは、1970年代に日本能率協会コンサルティングが開発した標準化によるコストダウン手法のことです。多様化する顧客ニーズに対応しながらも、部品の種類数やラインの種類数などを最低限で実現することにより、最大限の利益を確保することを目的としています。