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 かつて、経営危機に陥ったいすゞ自動車は部品の種類数を100万点から30万点に激減させて、抜本的なコスト削減を実現し、見事再建を果たした。そのときの部品数削減活動の陣頭指揮を執った伝説の技術者・佐藤嘉彦氏が、経営者や管理者、技術者向けに『部品数マネジメントの教科書』を書き下ろした。

 本連載では、佐藤氏が開発した比較分析法「テアダウン(Tear Down)」を現場で実践しながら、長年交流を深めてきた盟友であるKSバリューコンサルティングの坂本幸一氏が、やはり現役時代に大なたを振るった部品数削減活動の体験談を明かす。第12回は、ニーズの多様化で激増したコントロールバルブの部品数削減の取り組みを紹介する。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

 ここでもう1つ、部品数削減の特徴的な、面白い事例を紹介したいと思います。

 産業車両の代表であるフォークリフトでは、荷役動作を油圧で制御するためのコントロールバルブが使われています。最もシンプルな仕様は、フォークの昇降(リフト)と、前後への傾斜(ティルト)を制御する2連バルブ。しかし、実際の仕様としては、荷役アタッチメントの装着も多いことから、3連、4連、5連と、仕様の幅が広いのが特徴です。

 加えて、車両への搭載の位置などから、操作レバーの取り付け方向が左勝手、右勝手と2手に分かれたり、配管ポートの位置も数カ所に変化したりします。

 こうしたコントロールバルブの最終的なバリエーションは、車両仕様に合わせて圧力設定されるリリーフバルブとの組み合わせによって決まります。例えば、図1のコントロールバルブの場合には、リフト操作用とティルト操作用に加えて、アタッチメント操作用の3連バルブとなっています。

図1 フォークリフト用の3連コントロールバルブ
図1 フォークリフト用の3連コントロールバルブ
(出所:TCMのサービスマニュアルを基に筆者作成)
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コントロールバルブは5年で19種類から48種類に激増

 図2をご覧ください。筆者が資材部門にいたときは、コントロールバルブの種類は19種類でしたが、5年が経過した当時には、それが48種類にまで激増。組み合わせるリリーフバルブも、最大14種類が設定されていました。なぜか。顧客のニーズが多様化するのにつれ、どんどん種類が増えたからです。

図2 ニーズの多様化で激増したコントロールバルブ
図2 ニーズの多様化で激増したコントロールバルブ
(出所:筆者)
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 ニーズの多様化という大義があるとはいえ、部品の種類が激増することに筆者は釈然としませんでした。