全4254文字
PR

「リアルを忠実に再現した自分」か「全く別の自分か」では、売るものも大きく変わってきますよね。

池内 そうなんです。HIKKYによると、ユーザーの中には「動物になりたい」「かわいい女の子になりたい」「イケメンになりたい」とかだけではなくて、「植物になりたい」とか「棒切れになりたい」と言う人もいると(笑)。

 今はどちらかというと「リアルではなれない自分」を実現・表現する場になっていますが、今後メタバースがSNS的なものに近づいていったときは、よりリアルの自分自身に近い姿を見せていきたいと思う人たちも増えてくるとは思っています。

 もう一つ、バーチャルマーケットで経験を積む中で気づいたのは、メタバースでものを売る感覚は電子商取引(EC)サイトよりも現実のショップに近い、ということです。ECでは一覧性が重視されますが、メタバースは多くの人が往来する場ですし、アバター同士でのコミュニケーションも発生します。そのような場でECのように商品の一覧性を高めても、うまく機能しません。

ビームスのバーチャルスタッフ(写真/ビームス)
ビームスのバーチャルスタッフ(写真/ビームス)
[画像のクリックで拡大表示]

 これはバーチャルマーケット5のときから継続しているのですが、ビームスのバーチャル店舗ではボットやAI(人工知能)アバターではなく、あえてリアルのスタッフがアバターとして店舗に立ち、接客をしています。外国からの参加者などは「本当にそんなことやっているの? 本当にクレイジーだな」なんて言われましたが(笑)。

VRヘッドセットを装着し、アバターを操作する様子(写真/ビームス)
VRヘッドセットを装着し、アバターを操作する様子(写真/ビームス)
[画像のクリックで拡大表示]

 実はこれがかなり好評で、バーチャル店舗に来てくれた参加者とスタッフが仲良くなり、「本人に会いたい」とリアルの店舗に来てくれたこともあります。私たちが現実世界で培ってきたコミュニケーションや接客のノウハウが、バーチャル世界でも通用する手応えを感じています。

(続く)

(『日経クロストレンド』2022年6月15日掲載記事 ビームスはメタバース時代の「百貨店」になる? 生接客に手応え を再構成、固有名詞や肩書などは掲載当時のままで現在は変わっている可能性があります)

次回の『メタバース未来戦略』インタビュー

「かじった人」「賢い人」ほど間違える!
メタバースの核心とビジネスを学べる
『メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤』
『メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤』
著者●久保田瞬、石村尚也(著)/定価●1870円(10%税込み)/発行●日経BP/判型●A5判304ページ/発行日●2022年06月20日/ISBN 978-4-296-11242-5

 2021年10月、旧フェイスブックが社名をMeta Platforms(メタプラットフォームズ)に変更し、メタバース関連へ年間100億ドル(約1兆1400億円)もの投資を行うことを公言したことで号砲が鳴った「メタバース狂騒曲」。NFT(非代替性トークン)やWeb3(ウェブスリー)、デジタルツインなど、関連するバズワードが入り乱れる中、その「本質」と「真価」を見通すのは容易ではありません。

 結局、メタバースとは何なのか。仮想世界ではどのようなビジネスチャンスが生まれるのか。今からどうやって取り組んでいけばいいのでしょうか――。

 本書は、メタバースの核心とビジネスの始め方を一冊で学べる最新かつ決定版となるビジネス書です。今からでも決して遅くはありません。本書は、メタバースの普及、定着が見込まれる2030年代に向け、思考実験と新たなチャレンジをするすべてのビジネスパーソン、クリエーターを応援します。

『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』
テックジャイアント不在の未来を描く(7月21日発売)
『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』
『Web3新世紀 デジタル経済圏の新たなフロンティア』
著者●絢斗優、藤本真衣(著)、馬渕邦美(著/監修)/定価●2420円(10%税込み)/発行●日経BP/判型●A5判248ページ/発行日●2022年7月26日/ISBN 978-4-296-11224-1

 「Web3とは何か?これから何が起きるのか?」。このような疑問を抱いている皆さんに一定の解を示す書籍です。Web3は現在進行形であり、変化のスピードが速いので、未来を見通すのはなかなか難しい。そこで本書はトップランナーたちのインタビューを通して、「これから何が起きるのか?」を読み解いています。Web3の巨大投資会社Animoca Brandsの創業者、Yield Guild Games (YGG)の共同設立者、メタバースDecentralandの創業者といった現在、Web3のムーブメントの中心にいる人たちに話を聞いています。

 Web3は、現在のWeb2.0の延長上にはなく、別の世界を目指しています。「絵に描いた餅」のようにいう懐疑派がいるのも当然で、Web3のトップランナーが目指す世界は、既存の尺度では測りづらく、リスクがあるのも確かです。一方でWeb2.0の反省を踏まえて世界を良くしていきたいとの意図を強く感じます。その範囲はあらゆる領域に及び、言うなれば「社会の再定義」をしようとしています。

 Web3が目指す世界を、ぜひ自分の目で確かめてください。