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 書籍『誰も教えてくれなかったアジャイル開発』(日経BP)では、ウオーターフォール型開発が主流の「日本企業」で試行錯誤しながらアジャイル開発を成功に導いてきたコンサルタントたちが、自らの経験を体系化している。本書から抜粋し、約30秒と言われる短い時間に顧客価値を説明できるように絞り込んだ「エレベーターピッチ」の作り方について解説する。(技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

ポイント(4) 顧客とエンドユーザーの違いを明確に意識する

 ポイントの4つ目は、インセプションデッキの2つ目の設問・課題「エレベーターピッチをつくる」に関するものだ。

図 インセプションデッキの10個の設問と課題
図 インセプションデッキの10個の設問と課題
(出所:『アジャイルサムライ―達人開発者への道』〔Jonathan Rasmusson著、西村直人・角谷信太郎監訳、近藤修平・角掛拓未訳、オーム社、2011年〕の46ページを参考にシグマクシス作成)
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 エレベーターピッチとはごく短時間のプレゼンテーションを指す。米国シリコンバレーにおいて、投資家がエレベーターで目的階に着くまでのわずかな間に、起業家が自らの価値を売り込むさまが語源とされている。

図 エレベーターピッチの記述例、「誰が何に満足すれば目的を達成できるのか」を絞り込む
図 エレベーターピッチの記述例、「誰が何に満足すれば目的を達成できるのか」を絞り込む
(出所:シグマクシス)
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 アジャイル開発プロジェクトの企画段階では、アジャイルチーム全員でエレベーターピッチを作成する。具体的には、「何が」「誰に」「どんな価値を与えるのか」を端的かつ明確に可視化する。例えば「需要予測機能付き販売管理システムが」「既存顧客担当の営業向けに」「希望の納期での納品を実現し、売り上げと顧客満足度を同時に向上させる」といったものだ。これにより、自分たちのつくるシステム像が明確になる。