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『それでは伝わらない!ビジネスコミュニケーション新常識 デジタルグローバルな作法は若者に学べ』
『それでは伝わらない!ビジネスコミュニケーション新常識 デジタルグローバルな作法は若者に学べ』

 『それでは伝わらない!ビジネスコミュニケーション新常識 デジタルグローバルな作法は若者に学べ』はグローバルな取引や協業が当たり前になり、オンライン会議やビジネスチャット、コラボレーションツールといった新しいITツールを普通に利用するようになった今どきの「ビジネスコミュニケーション」のあり方を解説した書だ。ビジネスコミュニケーションを円滑に進める手法は従来と変わっており、その「常識」はキャリアパーソン世代のそれとは大きく違うと説く。著者のディレクトリジャパンの西原勇介氏に、執筆のねらいを聞いた。(聞き手は松山貴之=技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

キャリアパーソン世代の常識である「丁寧・気配り・実直」なコミュニケーションではなく、今後のデジタルグローバルな世代ではストレートなコミュニケーションが標準的になっているというお話を背景も含めて聞きました。ただ、ストレートにものを言うと、なんだか冷たい印象があります

西原氏 最初はそう感じますが、その方が確実に伝わるので、短文でのストレートな表現が常識とされているのです。常識ですから、たとえ自分がそうしたメッセージを受けて冷たく感じても、「無礼なやつだ」などと思ってはいけません。

西原 勇介(にしはら・ゆうすけ)
西原 勇介(にしはら・ゆうすけ)
ディレクトリジャパン代表取締役。1981年愛知県生まれ。明治大学法学部卒業。ハーバードビジネススクールPLD修了。大学卒業後、米国へ留学し、サンフランシスコの果物商社で貿易実務を経験。帰国後、外資系コンサルティング会社のアクセンチュアに入社。サプライチェーングループの経営コンサルタント、マネジャーとして、大手企業の物流戦略・アウトソーシング戦略立案、実行を支援。2013年、ディレクトリジャパンを設立。新規Webサービス事業の立ち上げを経て、2015年にベトナムでのオフショア開発事業開始。会社経営者また現場ディレクターとして、7年間、日本とアジア合同デジタルチームを支援。事業経営、執筆などの活動を通じてグローバルコミュニケーション課題の解決に取り組む。(写真:矢吹健巳 Takemi Yabuki (W)、ヘアメイク:松本和也 Kazuya Matsumoto (W))
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 ちなみに、ストレートに伝えると冷たく感じるのは日本人だけではありません。例えばインドネシアの若者も、ストレートに表現されると「最初は怒っているのかと思った」と言っています。外国人も同じように冷たく感じるのです。ただ、コミュニケーションの目的は相手に伝わることだと理解しているので、相手が「ストレート」に表現することを当然と考えているというわけです。

 勘違いしないでほしいのですが、「ストレート」に感情や不満をぶつけてもいい、意味が不鮮明でも短文がいい、という意味ではありません。「ストレート」というのは、余計な解釈が生まれない、文脈と意図が鮮明なメッセージという意味です。

海外支店などがない企業なら「グローバル」は関係ない?

西原氏 これまで「グローバル」といえば日本人が海外に出向くことを指していましたが、これからはたとえ海外に行かなくても、外国人とコミュニケーションを取る機会は普通のことになっていくと思います。

 まず、オンライン会議ツールがあるので出張しなくてもよくなったことがありますが、もっと注目したいことは、高度な技術を持ったアジアの人材がどんどん日本企業で働いていることです。政府は「移民」という言葉を使いたがらないですが、実質的な移民政策は進んでいます。人手不足を解消するために高度な技術を持った外国人を採用する産業界の意欲は強く、みなさんが想像している以上に国内のグローバル化は進んでいるのです。

 言語に関して言えば、AI(人工知能)翻訳サービスの進歩は目を見張るものがあり、たとえ英語などの外国語が苦手でもコミュニケーションを取ることは十分に可能な時代です。むしろグローバル化で問題になるのは、これまで日本人同士で行っていた「目上の人を忖度(そんたく)する」「空気を読む」ようなコミュニケーションです。このような、実際に発言されていないにもかかわらず推測した意図に従って行動することは、グローバルでは非常識なのです。「外国人は空気が読めない」と怒りたくなるかもしれませんが、むしろ空気を読むのは非常識で、その考えに固執していると流れに取り残されてしまいます。

若者の行動様式はグローバル標準なのですか?

西原氏 最近、出張でベトナムとインドネシアに行きました。若者の行動を観察していると、食べ物や仲間との愉快なポーズをスマホで写真や動画に撮っては、「Instagram」や「TikTok」にアップしています。このような行動は、日本の若者と全く同じです。デジタルツールの普及は行動様式を世界標準にしてしまうのです。

 ここで注目したいのは、InstagramやTikTokの写真や動画は、同一国内で閉じて共有されるのではなく、グローバルで共有されている、つまり、グローバルコミュニケーションが成立していることです。遠く離れた外国に育った人同士であったとしても、互いの言葉が通じなくとも、若者たちは「共感」し合えているのです。

 これはビジネスの例ではありませんが、写真や動画を海外の人と「共感」した経験は決して小さなことではありません。例えば、将来社会人になって、自社サービスを世界展開するとなったとき、「こういう写真・体験が受け入れられる」と実感も持って意見を言うことができます。キャリアパーソン世代にはこうした蓄積はほとんどないと思います。