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 「買わない人=未顧客」を理解する初めての教科書『“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』。経験豊富なマーケティングサイエンティストであるコレクシアの芹澤連氏がさまざまなエビデンスに基づいた未顧客理解の原理原則と、日々のマーケティング実務で実践できるフレームワークを、マンガと図表で詳しく解説した書籍です。そのエッセンスをお届けしている本連載。今回は市場を捉えるパラダイムを変えて未顧客を把握する実践方法を解説します。

 未顧客を獲得するには、市場を捉えるパラダイムを変えてみることも大切です。あなたのブランドの市場はどこでしょうか。その市場にいるのはどんな人たちですか。どんな市場で、誰と競争しているのでしょうか。

市場を捉えるパラダイムを変えてみる

 多くのビジネスパーソンは「市場=商材カテゴリー(商品分類区分)」と捉える癖がついています。つまり、自社の産業区分やブランドの商品分類区分が根底にあり、そこに年代や性別、価格帯といった特徴による細分化が加わることで市場という認識が形成されます(図1)。例えば「若年男性向け化粧品」とか、「首都圏で共働きの夫婦をターゲットにした中~高価格帯の賃貸マンション」といった感じです。

 そして、そのカテゴリーにおける「平均的な消費者像」をターゲット顧客と考えるのが一般的です。しかし本連載で注目するのは、そのカテゴリーにおける未顧客、つまりマーケターが想定する「平均的な顧客像」に当てはまらない人たちです(図1の斜線部分)。

図1 市場=商材カテゴリー市場
図1 市場=商材カテゴリー市場
(出所:コレクシア)
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 ここで、現在見えている未顧客の背後に図2の破線で示すような“別の市場を表す円”を仮定し、「実は未顧客は、もっと大きな別の市場の一部分なのではないか」という視点を持ってみましょう。

図2 「別の市場」を仮定する
図2 「別の市場」を仮定する
(出所:コレクシア)
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 つまり、「商材カテゴリーや性年代といった既存の視点で市場をくくるからその人たちは未顧客なのであって、より広い別のくくりで捉えれば顧客になるのではないか」と考えてみるわけです。例えば、ワークマンの土屋哲雄専務取締役の著書『ワークマン式「しない経営」―― 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)には、近年のワークマンの躍進の裏にある、自社の強みを生かした市場の再定義が解説されています。

 ワークマンはもともと建設や工事の現場で働く技能労働者を顧客として、低価格で高機能な作業服を提供する市場で戦ってきました。しかし、作業服の機能性が日常生活でも価値になるのではないかと視点をシフトすることで、「低価格の高機能ウェア」というブルーオーシャン市場を発見したそうです[1]図3)。

図3 「別の市場」のワークマンの例
図3 「別の市場」のワークマンの例
(出所:コレクシア)
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