経営にとって重要なことだと分かっていても、システム開発の成功やITによる経営改革、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進はなかなかうまくいかず、むしろ失敗する確率のほうが高いのが現実だ。では、どうすれば成功の確率を高めることができるのか。
東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)のIT部門を皮切りに、日本取引所グループCIO(最高情報責任者)、さらにITコーディネータ協会会長を含め、45年にわたってITの世界に関わってきた筆者が成功のカギとして挙げるのが「オーナーシップ」だ。本書では、著者の長年の経験をもとに「オーナーシップ」の重要性と、それを実行するうえでのポイントを解説する。
オーナーシップを明確にすることで、経営者や事業部門がITやデジタル技術と聞いたとたんに「それは任せる」と逃げず、自分ごととして考えるようになる。それこそがシステム開発の成功において最も重要なのだと著者は説く。
また、東京海上日動火災保険が、経営者や事業部門がオーナーシップを発揮するために生み出し、20年以上にわたって実施している「アプリケーション・オーナー制度」についても詳説する。同制度によって東京海上日動のシステムトラブルは劇的に減った。
さらに、中堅中小企業の経営とITの関係、DXを実現させる経営にとって必要なものは何か、DX推進の教科書となる「デジタルガバナンス・コード」、システム開発の際に企業とITベンダーが交わすべき契約のあり方などに関しても、オーナーシップに絡めながら解説する。
企業経営者、システム担当役員をはじめ、企業の情報システム部門、ITベンダー、ITコンサルタントなど、システム開発に関わる方必読の1冊。
目次
- 第1章 システム開発を成功に導く アプリケーション・オーナー制度
- 第2章 中堅・中小企業は もっとITを経営に生かせる
- 第3章 DXは経営そのもの、経営者はビジョンとプロセスにこだわれ
- 第4章 モデル契約書で開発を自分ごとにする
- 第5章 システム開発は新たな価値を生む 楽しさに満ちた場だ
著者●澁谷裕以/価格●1980円(10%税込み)/発行●日経BP/判型●四六 200ページ/発行日●2022年09月26日/ISBN 9784296200177