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『「データは苦手」からの卒業 管理職のためのやさしい数値化技術』
『「データは苦手」からの卒業 管理職のためのやさしい数値化技術』

 「データサイエンス」や「データ分析」という言葉があふれているが、「データは苦手」「数字は嫌い」と感じている人も実は多いはずだ。数字に苦手意識を持つ人たちに向けた入門書『「データは苦手」からの卒業 管理職のためのやさしい数値化技術』を執筆したZoku Zoku Consulting代表の中野崇氏に、執筆の背景などを聞いた。(聞き手は松山 貴之=技術プロダクツユニットクロスメディア編集部)

「データ分析ブーム」と言えるほど、企業はデータを重視するようになった印象があります。中野さんはオンライン講座Udemyでそうしたテーマを教えていますが、実感はありますか?

中野崇氏:すごくありますね。経営や企業人事の方々も、組織にデータ分析力やデータ活用文化を根付かせたいと口々におっしゃいます。おかげさまで、データ分析をテーマにした私のオンライン講座は1万人以上の方に受講いただいています。しかも、年齢や役職に偏りはありません。多くのビジネスパーソンが「データ分析力を高めたい」と考えているようです。

多くのビジネスパーソンがデータ分析力を身に付けたいと思う、何かきっかけはあったのでしょうか?

 金融・マーケティング・コンサルティング業界などでは、長らくデータサイエンスやデータ分析に取り組んでいるので、それら業界に従事している人たちにとってデータ分析力は以前から必須スキルです。それがビジネスパーソン全体に広がったのは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉がきっかけだと思います。

 経済産業省が『DXレポート』を出したのは2018年9月。それから多くのメディアで「DX」という言葉が使われました。「DX=(イコール)データ分析が必須」というのはやや短絡的ではあるのですが、「紙ではなくデジタルだよね、数字だよね、データだよね」と皆さんが考えるきっかけにはなりました。

やはりDXのインパクトは大きい。

 きっかけの一つはDXだと思いますが、データ分析はDXそのものではないので、ある程度時間がたつとそのことに気づき、静かにブームが去っていた可能性もあったと思います。でも、そうはなりませんでした。それは、新型コロナウイルス禍におけるテレワーク浸透が大きかったと思います。

テレワークの影響?

 はい、そうですね。ちょっと長くなりますが説明します。組織や業務を管理するマネジャーは、テレワークになって非常に苦労したと思います。テレワークによって部下の業務状況やコンディションが捉えにくくなりましたし、チームで進めるプロジェクト型業務の連携は難しくなりました。

 コロナ前なら、会議・1on1ミーティング・ランチ・席にちょっと立ち寄って声を掛けるなど、さまざまな方法でコミュニケーションをとり、メンバーの個々の状況に応じたモチベート、仕事のフォローアップがやりやすかったと思います。もちろん、マネジメントスタイルもさまざまですが、コミュニケーション力や人間観察力を大きな武器にするマネジャーは少なくなかった。それが、テレワークではあまり使えなくなってしまったのです。