DX-IT運用とは「標準化」と「自動化」の徹底だ。監視・問い合わせはマニュアル対応から自動化・セルフサービス化に提供方法が変化する。これまで人的オペレーションに頼ってきたガバナンス手続きはポリシーベースの自動承認プロセスが代替する。
インフラコンポーネントの環境準備は物理的な調達からサービスの利用に置き換わり、プロビジョニングを短時間で終わらせることができるようになる。インフラのキャパシティー拡張に時間を要するためビジネス側の需要・ワークロードを最適化する工夫が求められていたところを、需要に合わせてキャパシティーを拡張できる。
セキュリティパッチの適用計画を都度立案しなければならなかったITコントロールは、インフラが自動更新機能を内包することで業務量を大きく減らせる。サービス利用料金のコスト負担割合を可視化できずにビジネス側から納得感を得られなかった課金管理は、使用量ベースで可視化することで公平な説明が可能となる。
ITILはDX-IT運用に必要な「標準化」と「自動化」を促進する考え方が備わっている。ITILを導入することはビジネスのDXを促進することであり、組織にとって取り組まない理由はない。第1回で示した「ITオペレーティングモデル for ITIL4」の分類に準じた整理(戦略管理、サービス開発管理、サービス運用管理、計画/継続改善管理)に技術トレンドをひも付づけるとおおまかなイメージを持つことができる(図2)。
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェント クラウド イネーブラー グループ プリンシパル・ディレクター
国内では主にITインフラの運用管理ノウハウのフレームワーク/技術者資格として知られてきた「ITIL(IT Infrastructure Library)」。最新バージョンの「ITIL 4」は新たなコンセプトの下、DX(デジタルトランスフォーメーション)に求められる要素を盛り込んで生まれ変わりました。DXを推進するあらゆる組織の今現在の課題解決にベストのフレームワークです。DXに関わる方、ITシステムに関わる方、必読の1冊です。
試験対策は「正確な情報」で準備する必要があります。本書はITILの知的財産を管理している英PeopleCert/AXELOSの公認書籍であり、ITIL 4公式書籍である『ユーザーガイダンス』と『プラクティスガイド』から正確な情報を引用して解説しています。合格に近づくための模擬問題を多数収録しました。資格取得を望むすべての人の必読書です。