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 Windowsの内部構造を詳細に解き明かす定番書籍「インサイドWindows」。1992年の初版発行以来(初版の訳書は1993年発行)、Windowsに接するすべてのITエンジニアのバイブルとして永く読み継がれてきました。最新刊の第7版は、2017年5月に上の原書が発行され(訳書の発行は2018年5月、山内和朗訳)、約4年の歳月を経て2021年10月に下の原書が発行されました(訳書の発行は2022年9月、山内訳)。

 第7版完結を機に、「インサイドWindows」の読みどころを、上(第1章~第7章)と下(第8章~第12章)から抜粋してお届けします。今回は「はじめに」(下)からの抜粋で、「インサイドWindows」の歴史と、第7版での変更点を紹介します。(日経BOOKSユニット第2編集部)

本書の歴史

 本書は、Windows NT 3.1の最初のリリースよりも前に書かれた『Inside Windows NT』(Microsoft Press、1992年、Helen Custer著)(邦訳『INSIDE WINDOWS NT』、アスキー、1993年)の第7版です。『Inside Windows NT』は、Windows NTについて発行された初めての書籍であり、システムのアーキテクチャと設計についての主要な見識を提供しました。

 『Inside Windows NT, Second Edition』(Microsoft Press、1998年)(邦訳『インサイドWindows NT 第2版』、日経BP、1998年)は、David Solomonによって書かれました。第2版は、Windows NT 4.0向けに初版の内容をアップデートし、技術的にさらに深く掘り下げたものでした。

 『Inside Windows 2000, Third Edition』(Microsoft Press、2000年)(邦訳『アーキテクチャ徹底解説 Microsoft Windows 2000』上・下、日経BP、2001年)は、David SolomonとMark Russinovichの共著でした。第3版には、スタートアップとシャットダウン、サービスの内部構造、レジストリの内部構造、ファイルシステムドライバー、ネットワークといった、新しいトピックが数多く追加されました。また、第3版では、Windows Driver Model(WDM)、プラグアンドプレイ(PnP)、電源管理、Windows Management Instrumentation(WMI)、暗号化、ジョブオブジェクト、ターミナルサービスなど、Windows 2000で行われたカーネルの変更点について取り上げました。

 『Windows Internals, Fourth Edition』(Microsoft Press、2004年)(邦訳『インサイドMicrosoft Windows 第4版』上・下、日経BP、2005年)は、Windows XPおよびWindows Server 2003についてアップデートが行われ、ITプロフェッショナルがWindowsの内部構造の知識を深めることを手助けするために、さらに多くのコンテンツが追加されました。例えば、Windows Sysinternalsの主要なツールを使用したり、クラッシュダンプを解析したりといった内容です。

 『Windows Internals, Fifth Edition』(Microsoft Press、2009年)(未訳)は、Windows VistaおよびWindows Server 2008について内容がアップデートされました。Mark Russinovichがマイクロソフトの社員になり時間がとれなくなったので(彼は現在、Microsoft Azureの最高技術責任者=CTO=です)、新しい共著者としてAlex Ionescuが加わりました。

 第5版では、イメージローダー、ユーザーモードデバッグ機能、Advanced Local Procedure Call(ALPC)、およびHyper-Vに関する新しい内容が追加されました。次の『Windows Internals, Sixth Edition』(Microsoft Press、2012年)(邦訳『インサイドWindows 第6版』上・下、日経BP、上2012年、下2013年)では、Windows 7およびWindows Server 2008 R2における数多くのカーネルの変更点について大幅にアップデートされました。また、豊富な「ハンズオンエクスペリメント」(日本語版では「実習」)により、ツールを用いてカーネルの変更点を復習できるようになりました。