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『ダイナミック・サプライチェーン・マネジメント レジリエンスとサステナビリティーを実現する新時代のSCM』
『ダイナミック・サプライチェーン・マネジメント レジリエンスとサステナビリティーを実現する新時代のSCM』

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)やロシアによるウクライナ侵攻など予想もしなかった出来事が次々に起こる不確実性(VUCA、ブーカ)の時代が訪れている。これらによりグローバルでのサプライチェーンを巡る状況は一変した。これまで機能していた物流網は機能不全に陥り、ものが買えない、作れない、運べない状況に対して、有効な打ち手を失っている企業も多い。これからのSCM(サプライチェーン・マネジメント)はどうあるべきなのか。『ダイナミック・サプライチェーン・マネジメント レジリエンスとサステナビリティーを実現する新時代のSCM』(日経BP)の著者であるクニエ SCMチームに、新時代に求められる「ダイナミックSCM」について連載してもらう。連載第6回はある日本企業を例に、旧態依然のSCMに苦しんでいる現場の実情を解説する。

 SCMは本来、経営管理手法として定義付けられるものであるが、従来は現場の効率化手法として扱われ、SCMのミッションは基本的に効率化とコストダウンに位置づけられることが一般的であった。また、経営層から「現場改善の手法」と認識され、静的なサプライチェーン環境を前提に、サプライチェーンの計画と実行プロセスを、オペレーションマネジメントの範囲で検討されることが多かった。「ダイナミックSCM」では起こり得る様々な変化に対応できるようにするため、SCMを企業のケイパビリティーとして高めていく必要がある。オペレーションマネジメントの範囲に加え、経営、デジタル、組織・人材にまで検討範囲を広げ、これまで持っていた認識を改めることになる(図1)。

図1 新旧のSCMに関連する認識と検討範囲
図1 新旧のSCMに関連する認識と検討範囲
(出所:著者)
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