「100年に一度」といわれる大変革期にある自動車産業は、単なるデジタル化や脱炭素化を目指した「トランスフォーメーション(DX、SX)」ではもう勝てない。今後の命運を握る鍵は、顧客起点による新たな体験価値(X=エクスペリエンス)の創造と、それをよりリッチなものとする異業種融合(X=クロス)の実現にあった。
米国のテックジャイアント、GAFAM(Google、Apple、Facebook=現Meta、Amazon、Microsoft)による破壊的なイノベーションを現地で体感してきた日本人の有志組織「シリコンバレーD-Lab」メンバーが繰り出す、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くための必読書。新しい顧客体験を創造し続けるUberから、ロボタクシーで先行するゼネラルモーターズ(クルーズ)やGoogle(ウェイモ)、EV×エネルギーでモビリティXの世界観を先駆けるテスラ、強いECを背景に「モノの移動」を制するAmazonが狙うモビリティ産業のゲームチェンジまで、シリコンバレーだからこそ見えてきた自動車産業の未来を徹底解説する。
すべての産業で喫緊の課題となっているDX、SX(サステナビリティートランスフォーメーション)の「誤解」をひもとき、その本質を捉えた次の一手としてモビリティX時代に求められる4つのアプローチと、世界で日本企業らしく戦うための4つの切り口を提示する。もはや「できない理由」はない。未来を切り開く日本へ「原点回帰」せよ。
目次
- 序章 モビリティ産業を襲うDX、SXの荒波
- Chapter 1 DXの誤解と本質 ~顧客体験から目をそらすな~
- 1 シリコンバレーで感じた「日本」のはがゆさ
- 2 「移動の価値」を再定義するウーバー
- 3 モビリティの体験価値を根本から変えたテスラ
- Chapter 2 「CASE」の先にあるビジネスモデル変革
- 1 自動車業界でこれから起こる「価値の移動」
- 2 新たなビジネスモデルに挑戦するGMに学ぶ
- 3 グーグルも狙う「ロボタクシー」という新市場
- Chapter 3 SXの誤解と本質 ~新しい企業価値のつくり方~
- 1 もはや不可逆な「脱炭素」という新潮流
- 2 変わる消費者、SX時代に愛される体験価値
- 3 世界の自動車メーカーは脱炭素にどう向き合うのか
- 4 モビリティ領域の覇権狙うエネルギー産業という「伏兵」
- Chapter 4 「モビリティX」の先駆け、テスラの全貌
- 1 なぜテスラは「EVの覇者」になれたのか
- 2 テスラの“本命”がエネルギー産業である理由
- 3 異業種融合を進めるテスラの脅威とビジネスインパクト
- Chapter 5 アマゾンが狙うモビリティ産業のゲームチェンジ
- 1 アマゾンから学ぶ「顧客体験価値」のつくり方
- 2 「モノの移動」を制すアマゾンのモビリティ戦略
- 3 「強い物流」をテコにヘルスケア業界も飲み込む
- 【Column】脱炭素化も業界をリードするアマゾン
- Chapter 6 モビリティ産業の未来と日本の戦い方
- 1 モビリティX時代に求められる4つのアプローチ
(1)「デザイン思考」「データドリブン」による体験価値創出
(2)顧客の価値観の変化に寄り添うサステナビリティー変革
(3)中長期視点による「要素クロス」アプローチ
(4)ファンクション産業と融合した新たな価値創出 - 2 グローバル市場で日本企業らしく戦うための秘訣(ひけつ)
(1)強みの製造品質を生かしてオペレーションコスト低減で勝つ
(2)協調による異業種融合で日本流のモビリティXを
(3)高齢化社会をチャンスに変えて分散化時代の主権を狙う
(4)グローバルなルール作りに入り込み、戦略的に迎え撃つ - 3 シリコンバレーで学んだ企業を越えた個人連携の必要性
- おわりに 「できない理由」はない。未来を切り開く日本へ「原点回帰」せよ
シリコンバレーで見えた2030年の自動車産業 DX、SXの誤解と本質』
価格:1980円(税込)
ISBN:9784296201204
発行日:2022年12月19日
著者名:木村将之、森俊彦、下田裕和 著
発行元:日経BP
ページ数:232ページ
判型:A5判