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新規事業を生み出すクリエイター発のメソッド「DUAL-CAST」。同メソッドの特徴は、技術知財を基点として妄想をイラストにし、見る人の創造力を駆り立てることである。書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』からの抜粋で、具体的な妄想イラストの事例を紹介する。第1回で紹介する妄想の基になった技術知財は、Audio Metaverseが開発した「オーディオメタバース」である。
Audio Metaverseが開発した「オーディオメタバース」は、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を結びつけ、いつでも誰もが交流可能な音声AR空間を形成する技術。「キューブ」と呼ばれる独立した音声AR空間に接続し、遠隔から接続する利用者と同じ空間体験を共有して対話的に交流できる。キューブは一度つくられると無期限に存在し、現実空間の場所のようにいつでも入ることが可能。没入感と交流を共有するプラットフォームとして期待されている。
知財に備わる機能
この知財に備わる機能は、次の5つである。
- 誰もが交流可能な音声AR空間を形成
- 現実世界と仮想空間で同じ体験を共有
- 空間はいつでも再訪・再体験できる
- 空間をNFT(非代替性トークン)としてデジタル資産化
- 空間オーディオに対応したイヤホンで参加可能
妄想の切り口
この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。
- (1)街のAR空間で待ち合わせて雑談
- (2)観光地に設置した音声案内施設
- (3)伝説のストリートライブをARで再現
- (4)地球の真裏に立っている人と接続
- (5)街中に散らばった楽曲を探して聴くイベント
- (6)過去と現在の音声をエリア内に同居
- (7)100年前の雑談が聞ける音のタイムカプセル
- (8)市の中に完全な無音空間を生成
- (9)スマートグラスによりAR空間を可視化
- (10)一定時間同じ場所にいる人に向けた音声案内
- (11)海上に漁のスポットを教えるAR空間を設置
- (12)登山中の安全な音声ルートガイド
この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。
- (3)伝説のストリートライブをARで再現
- (6)過去と現在の音声をエリア内に同居
- (9)スマートグラスによりAR空間を可視化
筆者は(9)に注目し、現実空間と仮想空間が溶け合う「META STREET LIVE」を妄想イラストにしてみた。