全1687文字
新規事業を生み出すクリエイター発のメソッド「DUAL-CAST」。同メソッドの特徴は、技術知財を基点として妄想をイラストにし、見る人の創造力を駆り立てることである。書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』からの抜粋で、具体的な妄想イラストの事例を紹介する。第2回で紹介する妄想は、電通国際情報サービス(ISID)が開発した「エラーレスラーニング」という知財を基にしている。
電通国際情報サービス(ISID)が開発した「エラーレスラーニング」は、学習者が失敗をしないように課題や環境を調整して成功体験を積み重ねながら技能を習得するアプローチ。お手本の速度やバーチャル練習環境での時間の流れる速さをAI(人工知能)が調節し、課題の難度を学習者にとって最適に設定。習得効率とモチベーションを高める。新人教育やスポーツ、医療のリハビリ、伝統芸能など、あらゆる分野での技能伝承への貢献が期待されている。
知財に備わる機能
この知財に備わる機能は、次の5つである。
- あらゆる身体的動作を効率よくインストール
- お手本と自分の動きの差異を可視化
- 習得度に合わせてお手本の速度をAIが調節
- ユーザーに成功体験を連続して提供
- 指導管理側の負担を軽減
妄想の切り口
この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。
- (1)生徒の能力に合わせた部活動の指導
- (2)1人の先生が100人の生徒に個別指導
- (3)匠(たくみ)の技術や伝統芸能をAIで保存・継承
- (4)工場に導入してヒューマンエラーの軽減
- (5)けがから復帰するためのリハビリテーション
- (6)モーションデータを共有したダンス練習
- (7)無重力空間の疑似運動体験
- (8)世界各国のテーブルマナー習得
- (9)手仕事の動作やこつを自宅で短期習得
- (10)指の動きを再現して楽器習得
- (11)インストールした技術を資格として転職に活用
- (12)クルマなどのモビリティーの運転技術習得
この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。
- (2)1人の先生が100人の生徒に個別指導
- (9)手仕事の動作やこつを自宅で短期習得
- (11)インストールした技術を資格として転職に活用
筆者はこれらに注目し、日替わりスキルで好きなように生きていく「パラレル・ワークスタイル」を妄想イラストにしてみた。