新規事業を生み出すクリエイター発のメソッド「DUAL-CAST」の特徴は、技術知財を基点に妄想をイラストにし、見る人の創造力を駆り立てることである。書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』から、具体的な妄想イラストを紹介する。今回紹介する妄想の基になった技術知財は、タイカが開発した「HAPTICS OF WONDER 12触αGEL見本帖(ちょう)」である。
タイカが開発した「HAPTICS OF WONDER 12触αGEL見本帖」は、人間のからだ全体で感じる触覚に着目して構成されたマテリアル体感キット。タイカは自動車や家電などで使われる耐衝撃素材が主力の化学メーカーである。開発したキットは、感性に訴える12“触”のαGEL(シリコンゲル)を、特長と特性を織り交ぜて紹介。身近なプロダクトになぞらえたネーミングとアニメーションで表現し、素材の活用をよりオープンにする。クリエイターの発想をサポートし、さまざまなプロダクトやサービスに感性を落とし込むことができると期待されている。
知財に備わる機能
この知財に備わる機能は、次の5つである。
- 人の感性に訴える12“触”のゲルをチャート化
- ゲルの感触を身近な素材に例えて表現
- 優れた衝撃吸収性・防振性・温度特性・耐久性
- 「ざらざら」「さらさら」などの表面感を再現
- 硬度、反発性を触り心地から指標化
妄想の切り口
この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。
- (1)ペンや腕時計の皮膚接触部を特化
- (2)VR(仮想現実)と組み合わせた触覚グローブの開発
- (3)コスメ製品の効果を体感できる肌サンプル
- (4)触覚によるリラックスができる瞑想(めいそう)空間
- (5)しこりの感触を再現する乳がんチェッカー
- (6)危険な動物たちの触り心地を再現
- (7)ぷにぷにした新感覚の着心地の衣服
- (8)絶滅動物を再現する博物館
- (9)個人の人肌を忠実に再現したロボット
- (10)触覚を軸とした子供の感性教育
- (11)触り心地のある絵本や教科書
- (12)舌触りに特化した食品開発
この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。
- (6)危険な動物たちの触り心地を再現
- (8)絶滅動物を再現する博物館
- (10)触覚を軸とした子供の感性教育
筆者はこれら3つの切り口を組み合わせて、生き物を肌で感じられるハプティクス・パーク「さわれる動物園」を妄想イラストにしてみた。