書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』から、新規事業考案の手掛かりとなる妄想イラストを紹介する。今回紹介する妄想は、インテグリカルチャーが開発した「CulNet(カルネット)システム」という低コスト細胞培養プラットフォーム技術を基にしている。
動物由来細胞から食品原料などを作る「細胞農業」の実用化を目指す日本のベンチャー企業インテグリカルチャーが開発した「CulNet(カルネット)システム」は、効率的な体内システムから学んだ、汎用性の高い低コスト細胞培養プラットフォーム技術。動物細胞で構成される食品や皮革をはじめ、多様な分野で活用できる。
以前から細胞培養の技術は存在していたが、培養液のコストが高く商用化にはハードルがあった。この技術では動物の体内システムに似た環境を構築することで、大幅なコストダウンを実現した。
知財に備わる機能
この知財に備わる機能は、次の5つである。
- 汎用性のある大規模細胞培養技術
- コスメから食材までさまざまな利用範囲
- 体内に似た環境を構築して大幅なコストダウン
- エイジングによって失われていく有用物質を補給
- 血管を張り巡らせて細胞を組織化できる可能性
妄想の切り口
この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。
- (1)環境に負荷が小さい食肉大量生産
- (2)若い細胞を培養したアンチエイジング化粧品
- (3)動物の皮を再現したハイエンド培養革製バッグ
- (4)動物の皮の「住宅用アニマル壁紙」
- (5)自分の細胞で傷口を修復するばんそうこう
- (6)培養肉に特化したレストラン
- (7)自宅でも楽しめる細胞培養キット
- (8)食用が制限された希少動物の部位を複製
- (9)自分の健康に適したオーダーメード培養肉
- (10)過去の細胞をベースに再生医療に活用
- (11)味覚再現デバイスとの連動で料理を拡張
- (12)畜産ができない地域でも肉をブランディング
この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。
- (6)培養肉に特化したレストラン
- (8)食用が制限された希少動物の部位を複製
- (10)過去の細胞をベースに再生医療に活用
筆者はこれら3つの切り口を組み合わせて、太古の味をよみがえらせる「絶滅生物レストラン」を妄想イラストにしてみた。