全1649文字
PR

 書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』から、新規事業考案の手掛かりとなる妄想イラストを紹介する。今回紹介する妄想は、インテグリカルチャーが開発した「CulNet(カルネット)システム」という低コスト細胞培養プラットフォーム技術を基にしている。

 動物由来細胞から食品原料などを作る「細胞農業」の実用化を目指す日本のベンチャー企業インテグリカルチャーが開発した「CulNet(カルネット)システム」は、効率的な体内システムから学んだ、汎用性の高い低コスト細胞培養プラットフォーム技術。動物細胞で構成される食品や皮革をはじめ、多様な分野で活用できる。

 以前から細胞培養の技術は存在していたが、培養液のコストが高く商用化にはハードルがあった。この技術では動物の体内システムに似た環境を構築することで、大幅なコストダウンを実現した。

知財に備わる機能

 この知財に備わる機能は、次の5つである。

  • 汎用性のある大規模細胞培養技術
  • コスメから食材までさまざまな利用範囲
  • 体内に似た環境を構築して大幅なコストダウン
  • エイジングによって失われていく有用物質を補給
  • 血管を張り巡らせて細胞を組織化できる可能性

妄想の切り口

 この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。

  • (1)環境に負荷が小さい食肉大量生産
  • (2)若い細胞を培養したアンチエイジング化粧品
  • (3)動物の皮を再現したハイエンド培養革製バッグ
  • (4)動物の皮の「住宅用アニマル壁紙」
  • (5)自分の細胞で傷口を修復するばんそうこう
  • (6)培養肉に特化したレストラン
  • (7)自宅でも楽しめる細胞培養キット
  • (8)食用が制限された希少動物の部位を複製
  • (9)自分の健康に適したオーダーメード培養肉
  • (10)過去の細胞をベースに再生医療に活用
  • (11)味覚再現デバイスとの連動で料理を拡張
  • (12)畜産ができない地域でも肉をブランディング

 この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。

  • (6)培養肉に特化したレストラン
  • (8)食用が制限された希少動物の部位を複製
  • (10)過去の細胞をベースに再生医療に活用

 筆者はこれら3つの切り口を組み合わせて、太古の味をよみがえらせる「絶滅生物レストラン」を妄想イラストにしてみた。

妄想イラスト:太古の味をよみがえらせる「絶滅生物レストラン」
妄想イラスト:太古の味をよみがえらせる「絶滅生物レストラン」
(出所:知財図鑑、妄想画家/田嶋千寛)
[画像のクリックで拡大表示]