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 書籍『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』では、技術知財を基点とした“妄想”をイラストにし、実用化を図る手法を解説している。今回は、NECが開発した「高速ブロックチェーン」を基にした妄想を紹介する。

 NECが開発した「高速ブロックチェーン」は、超高速で高セキュリティーなブロックチェーン技術。毎秒10万件以上の記録性能を達成する合意形成アルゴリズムを備え、高い秘匿性を持つ。クレジットカード取引システムなど、記録性能やノード数の制約によってブロックチェーンの適用を断念していたケースへも対応が可能となる。高速性と安全性により、新たなビジネスインフラとして普及が期待される。

知財に備わる機能

 この知財に備わる機能は、次の5つである。

  • 大規模接続環境で毎秒10万件以上の記録性能
  • 高レベルなデータの秘匿性能
  • 参加ノードが合意形成するための通信回数を削減
  • 取引情報の公開範囲を限定
  • 取引情報をグループに属するノードにのみ公開

妄想の切り口

 この機能から創造した「妄想の切り口」は、例えば次のようなものがある。あなたの妄想もぜひ加えてほしい。

  • (1)仮想通貨を利用した国際送金サービス
  • (2)配送荷物の詳細情報をトラッキング
  • (3)自動運転車におけるセキュリティーの確保
  • (4)超大規模イベントにおける一斉取引
  • (5)バリューチェーンを物理的に可視化
  • (6)公平・安全な個人情報を基にした企業採用
  • (7)リアルタイムに変化する交通情報の最適化
  • (8)ペットの出生・譲渡記録を通じて保護に活用
  • (9)セキュアなコンテンツの著作管理
  • (10)ブランドすべての製造履歴をオープン化
  • (11)公文書をデジタル化する際の改ざん防止
  • (12)メタバース空間における商取引に活用

 この中から以下の3つをピックアップした。あなたなら何を選ぶだろうか。

  • (2)配送荷物の詳細情報をトラッキング
  • (5)バリューチェーンを物理的に可視化
  • (10)ブランドすべての製造履歴をオープン化

 筆者はこれら3つの切り口を組み合わせて、生産プロセスの重さを体感できる「TRACING Ball」を妄想イラストにしてみた。

妄想イラスト:生産プロセスの重さを体感できる「TRACING Ball」
妄想イラスト:生産プロセスの重さを体感できる「TRACING Ball」
(出所:知財図鑑、妄想画家/ajisa)
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