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 医療用医薬品などを手掛ける協和キリンの高崎工場は、デジタル化プロジェクトを通じ、データ活用を深めてきた。従来は、医薬品の製造過程で行う工程試験などのデータを集めてExcelに転記し、紙ベースで品質を管理していた。作成するグラフの数は数百に上ったという。

 従来Excelに転記していたデータを米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)のクラウド「Amazon Web Services(AWS)」上に集めるよう変更。AWSのデータウエアハウス(DWH)サービスである「Amazon Redshift」にデータをロードした上で、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールで可視化・分析するIT基盤を整備した。

図 協和キリン「高崎工場」のデータ分析の流れ
図 協和キリン「高崎工場」のデータ分析の流れ
データ活用の自動化を進める(出所:協和キリンの資料を基に日経コンピュータ作成)
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 BIツールは2種類ある。1つはYDCの「YDC SONAR」だ。これは一般ユーザー向けで、データを可視化するほか、しきい値の監視にも使う。数千のしきい値を設定しており、それを超えた場合は担当者にメールで自動通知する。「従来はExcel上でデータを転記する際などに人手で把握する必要があったが、メール通知により見逃すリスクが減った。安心感を覚えている」。協和キリンの武内雅春生産本部生産企画部デジタル推進グループ長兼高崎工場情報システム室は効果をこう話す。