全3375文字
PR

 D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)はデジタル技術を用いて、従来の企業と消費者の関係性や商品の売り方を大きく変えていくビジネスモデルである。その本質はデジタルの力を使って顧客の購買プロセス、購買経験を変革すること。D2Cにはテクノロジーも深く関わるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のビジネストレンドとして、エンジニア視点からもD2Cを理解しておこう。

 今回は、D2Cのビジネスモデルを3系統に整理して解説する。この特集では今後、自社でD2Cの採用を検討する際のビジネスモデル設計の考え方や、システム構築時の注意点も紹介する予定だ。ここで代表的なD2Cのパターンを整理しておくことで、他社事例の比較・分析や、自社サービスにD2Cを組み込む際の検討がしやすくなる。

「購買プロセスへの関与」と「商品の最適化」がカギに

 D2Cビジネスのあり方は、「購買プロセス支援の範囲」と「顧客に応じた商品の最適化」の2つを軸に3パターンに整理できる。

 「購買プロセス支援の範囲」とは、消費者が商品を認知してから購入に至るまでのプロセスの中で、企業がどこまでを支援するかを指す。一般に消費者がオンラインで商品を購入するまでのプロセスには、Attention(認知・注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5段階があるとされ、これをAISASモデルと呼ぶ。例えば街中の広告で商品を知って興味を持った消費者が、インターネットで情報を検索して「使ってみたい」と考え、商品を購入する。実際に使った後、使用感をSNSに投稿する――といった一連の流れを指す。

Attention:消費者が商品の存在を認知する
Interest:消費者が商品に対して興味・関心を持つ
Search:消費者が商品の情報をインターネットで検索する
Action:顧客が商品を実際に購入・使用する
Share:顧客が商品の感想をSNSなどに投稿し、他の人々と情報共有する

 商品を手掛ける企業側で、この5段階の購買プロセスをどこまで支援するかがD2Cビジネスのポイントの1つだ。例えば、「SNSに商品の情報が流れるように企業側で積極的に働きかけ、消費者が商品を認知しやすくする」「SEO(検索エンジン最適化)を活用し、関連キーワードでの検索時に、検索結果の上位に商品を表示させる」などの取り組みが考えられる。

 特に有効なのは、一度は購入(契約)の意思決定をした顧客の購買行動の負荷を軽くする施策だ。例えば「一定量の商品を定期的に配送する」「在庫が少なくなった商品を自動発注する」といった方法がある。そのため、ここでは各種D2Cサービスを、「購買プロセス支援の範囲」において「定期配送」または「自動発注」があるかどうかで分類する。

D2Cのビジネスモデルを3種に分類
D2Cのビジネスモデルを3種に分類
出所:野村総合研究所
[画像のクリックで拡大表示]

 「顧客に応じた商品の最適化」とは、顧客の状態や嗜好に応じて、商品の成分や組み合わせを最適化して提供すること。ここでは最適化の有無に応じてD2Cサービスを分類した。なお1種類の商品のみを提供する場合や、顧客が複数の商品から自ら購入対象を選ぶ場合は最適化「なし」に含めている。