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 2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、建設工事においてカメラや通信機器を使ったリモート技術がじわりと広がっている。受注者と発注者がビデオ会議で検査に立ち会う遠隔臨場の使いこなしが進み、情報共有の技術も進化する。新連載「新型コロナで普及するリモート工事最前線」では、現場での最新事例を追う。

 2020年1月に駅のホームが移設された東京地下鉄(東京メトロ)銀座線の渋谷駅。09年に始まった駅の移設工事で、東急建設は現在でも旧駅施設の撤去工事や明治通りをまたぐ橋梁の外装設置工事など複数工区の施工を手掛けている。電車が走る時間にホームや線路上などは使用できず、作業時間が終電の後から始発までの間に限られる。

 商業施設が立ち並ぶエリアで場所の制約もあるため、施工の手戻りは大きな痛手となる。そこで東急建設はBIM/CIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング/コンストラクション・インフォメーション・モデリング)のモデルやクレーンの3次元モデルなどを時間軸で変化させて工程をシミュレーションするなど、東京メトロとの事前の情報共有に注力してきた。

 よりミクロな現場レベルでも、限られた時間で効率良く施工したい。そのためにできることはないか――。東急建設が見つけた「解」が、360度カメラの採用だった。

 日々の作業では、下見を基に社内関係者や発注者である東京メトロとの担当者の間で打ち合わせを重ねる。現場写真や図面を念入りに用意するが、議論のなかで「写真に写っていない部分に設備があったと思うが支障がないか」など追加の確認事項が出てくることもある。見たいところが写っている写真がない場合はその場で詳細を詰め切れず、再び現場を撮影しに行く手間も増えてしまっていた。

銀座線渋谷駅のホームから表参道側に延びる線路の360度画像の一部。通常のカメラでは周囲を撮りきれない(画像:東急建設)
銀座線渋谷駅のホームから表参道側に延びる線路の360度画像の一部。通常のカメラでは周囲を撮りきれない(画像:東急建設)