デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための有力な手段として、クラウドサービスを導入する企業が着実に増えている。システムコストを抑制したり、システム導入速度を高めたりする手段としてクラウドへの期待は大きいものの、想定ほど成果を上げていないケースもある。
クラウド活用で成果を上げるための注意点とは――。日清食品ホールディングス・執行役員CIO(最高情報責任者)を2021年3月末まで務め、同社のDXをけん引してきた喜多羅滋夫氏は、このテーマにどう取り組んでいたのか。
日清食品時代にAWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなど複数のクラウドサービスの導入・活用を指揮してきた喜多羅氏は、「クラウドの領域でもITベンダーに丸投げするのは得策ではない」と警鐘を鳴らす。では、どうすべきか。その要諦を押さえよう。
Chapter9の要点- クラウドは経営サイドから見て魅力的なサービスである
- 信頼性は着実に向上、基幹系でも利用可能に
- ITベンダー丸投げでは、クラウドを活用してもコスト削減は難しい
- クラウドを使いこなすためには、社内にクラウド技術者を採用・育成すべき
- 外注と内製化の領域を整理し、少しずつ内製化できる範囲を広げよう