創薬に革新をもたらすと期待される人工知能(AI)。2020年1月には世界の先陣を切って大日本住友製薬と英ExscientiaがAIを活用して創成した化合物の臨床試験を始めた。AI創薬はもはや夢の技術ではなく、既に多くの創薬支援AI技術がひしめいている。AI創薬が「当たり前」になる時代に備えて、製薬企業や創薬支援AI技術を開発する企業はどう対応しようとしているのか。日進月歩のAI創薬の今を追った。

(出所:123RF)
創薬に革新をもたらすと期待される人工知能(AI)。2020年1月には世界の先陣を切って大日本住友製薬と英ExscientiaがAIを活用して創成した化合物の臨床試験を始めた。AI創薬はもはや夢の技術ではなく、既に多くの創薬支援AI技術がひしめいている。AI創薬が「当たり前」になる時代に備えて、製薬企業や創薬支援AI技術を開発する企業はどう対応しようとしているのか。日進月歩のAI創薬の今を追った。
AI(人工知能)を活用した創薬が実用段階に入り、それが「当たり前」の手法として定着するそのときに、生き残っているのはどんなAIだろうか。AIはあくまで人間が使うものという基本に立ち返れば、1つのヒントが見えてくる。それはいかに人間にとって使いやすいかということだ。
一口に創薬支援AI技術といっても多様な開発企業が活躍しており、そのサービス内容も様々だ。各社は得意技術に磨きをかけ、競合他社との差異化を急いでいる。多様なプレーヤーや技術がひしめく市場を概観するには、創薬プロセスのどの部分を、どんな技術で支援しているのか把握することが必要だ。
2020年1月30日、大日本住友製薬とAI(人工知能)創薬を手掛ける英Exscientiaは新薬候補の化合物「DSP-1181」の治験が日本で始まったことを告げるリリースを発表した。治験の開始自体は製薬企業にとって何の変哲もない発表だが、この発表は業界からは衝撃をもって受け止められた。それはこのリ…