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AI創薬の主役は誰か

 AIの醍醐味が人知を超えた提案をすることにあるとすれば、人間の理解できる範囲に落とし込むことはAI創薬の可能性を狭めることにはならないだろうか。1つの重要な視点は「AIはエンジンのようなもので、それをどの方向にどう出力するか調整するのは人間の仕事」(インテージヘルスケアの村上氏)であるということだ。

AIを使いこなすには人間の思考のアップデートも求められている
AIを使いこなすには人間の思考のアップデートも求められている
(出所:123RF)
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 FRONTEOのライフサイエンスAI CTO(最高技術責任者)の豊柴博義氏は「AIを使っても、今まで知られていることから飛躍できていないのが現状だ。人間とはそういうものなのかもしれないが、もっと柔軟にならないと真の意味でAIは使いこなせないだろう」と指摘している。AIがどれだけ創薬に浸透してきても、結局は使用者たる人間が変化しないことには、その恩恵にあずかることはできない。

 大日本住友製薬常務執行役員の原田秀幸シニアリサーチディレクターの言葉を借りれば今はまさに「AIが創薬インフラになりつつある」段階だ。目前に迫るAI創薬「当たり前」時代には、AI開発企業は人間が使いやすいシステムを構築すると同時に、製薬企業側もまたAIを理解するために思考をアップデートすることが求められている。AI創薬の主人公は、これからも人間なのだから。