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 これまでのMWC Barcelonaの主役といえば、基地局メーカーと移動通信用のチップセットメーカーであった。スウェーデンEricsson(エリクソン)やフィンランドNokia(ノキア)、中国・華為技術(ファーウェイ)などが大規模な展示をしており、次いで移動通信用チップセットを手掛ける米Qualcomm(クアルコム)などのブースが大きかった。2018年と2019年のMWC Barcelonaに限って言えば、「5G(第5世代移動通信システム)前夜祭」状態で、5G関連の展示が目立った。特に端末では、5Gスマートフォン(スマホ)見本市と言えるような状態だった。

 5G商用サービス開始から2年が経過し、「MWC Barcelona 2021」の主役は、5Gハードウエアから5G通信を使ったサービスに移った。目立ったのは、IoT機器、AI(人工知能)、クラウド関連サービスを手掛ける企業だった。

IoT機器でeSIMが主流に

 製品によって大小はあるものの、IoT機器の容積は、多くの場合は小さい。このためスマホのようなSIMカードスロットを搭載するスペースがない場合も多い。SIMカードは通信機の呼び出し符号を入れるカードで、スマホの場合は電話番号と契約者情報となり、この情報が課金の基礎情報となる。現在スマホで普及しているナノSIMカードは8.8mm×12.3mmと小さいが、例えば、500円玉程度のサイズしかないようなIoT機器だと、SIMカードを積むスペースはない。そこで、SIMカードに代わってIoT機器で使われるのがeSIMである。縦横3mm程度のセキュアーマイコンがSIMカードの役割を果たす。2021年のMWCでは、例えば、中国の新興チップセットメーカー紫光展鋭(UNISOC)のブースでは、水道メーター、火災報知機など、数多くのIoT端末が展示されていたが、いずれもeSIMが搭載されていた(写真1)。

写真1 UNISOCの展示
写真1 UNISOCの展示
5Gチップセットメーカーがほぼ姿を消したMWC Barcelona 2021で一人気を吐いていたのが中国の新興チップセットメーカー「UNISOC」だった。すでに多くのスマートフォンやIoT機器で採用されている。同社のチップセットを使った多数のIoT機器が展示されていた。すべてeSIMベースだという。(撮影:フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)
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