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 MWC Barcelona 2021が閉幕し、ビジネスミーティングのためロンドン・ヒースロー空港に立ち寄った後、2021年7月初頭、日本に帰国した。現地にいた時点(21年6月末~7月頭)における関係国の新型コロナウイルス感染症の水際対策は次のようなものだ。

 スペインは入国前72時間以内に発行されたPCR陰性証明書があれば到着後、隔離無しですぐに仕事ができる。英国では全入国者に10日の自主隔離が求められる。日本も国籍に関係なく2週間隔離されるが、出発地により、入国後の最初の3日または6日間は政府が指定した施設での隔離となる。筆者の場合は最終出発地が英国ということで6日の強制隔離であった。MWC報告の番外編として、この体験を報告し、新型コロナウイルス禍で日本人が海外出張する際、最大の難関は渡航先ではなく、日本であるということを伝えたい。

羽田到着後に死の行進

 ロンドン発の飛行機が羽田空港に到着すると「オリンピック関係者は降機しないでください」のアナウンスがあった。筆者が飛行機を降りるために立ち上がったが、1/3くらい埋まっていた機内の座席の半分くらいは座ったままだった。

 飛行機の旅、特に帰国の長距離便は、長旅の疲れと、夜行便ということもあり、羽田空港到着時、乗客は疲労困憊(こんぱい)状態である。そんな乗客を待ち構えていたのは、1枚書類を受け取っては次のポイントまで数百メートル歩かされる「死の行進」だった。特にソーシャルディスタンスを配慮してかとにかく次へのポイントが異常に長いのだ。動く歩道も止まっており、ゴルフカートのような移動を助けてくれる乗り物もない。

空港で被収容者は色分けされたタグを手首に付けられる
空港で被収容者は色分けされたタグを手首に付けられる
(写真:筆者)
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 とにかくしんどかったのは、全体の行程が分からないことだ。次のポイントまでの距離、あとどれくらいでこの手続きが終わるのか、文字通り終わりのない歩みが続いた。紙はバッグにしまっておいてよいのか? パスポートは出しておくべきなのか? それともすぐ使うので出しといたほうがよいのか? これだけでも分かれば、片手が楽になる。小さい子供がいる家族連れのケースが考慮されているとは思えない。

私の字は確かに汚いが……

 この行程で渡された書類の1枚に渡航先を書く欄があった。訪問した3か国記入し、歩かされたあと、係員に渡す。「渡航先は英国ですね」「いえ。全3か国です」「英国じゃないんですか?」「スペインやフランスにも行ってます」「パスポートを見せて下さい」。心の中で「私の字はそんなに汚いか!」と叫ぶ。多分、紙は見ておらず、恐らく到着した便名だけで判断しているのだろう。あちこちスタンプが押されたパスポートから渡航履歴を拾えるはずもない。この確認作業のチェックポイントがないだけでも、移動距離は数百メートル減ったはずだ。

空港で死の行進中に渡された書類。ヘロヘロの体で、紙を渡されるたびに延々と説明がある。収容先のホテルで受け取った最後の紙以外はよく覚えていない
空港で死の行進中に渡された書類。ヘロヘロの体で、紙を渡されるたびに延々と説明がある。収容先のホテルで受け取った最後の紙以外はよく覚えていない
(写真:筆者)
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