全5536文字
PR

 米Microsoft(マイクロソフト)は2021年6月24日(日本時間25日)、「What's Next for Windows」のタイトルで実施したオンラインイベントにおいて「Windows 11」を正式発表した。2021年5月に開発キャンセルが発表された「Windows 10X」の開発途上ビルドが同年1月にインターネット上に流出、そして本イベントの10日ほど前には他ならぬ「Windows 11」の名称を冠した開発途上ビルドが流出していた。このためユーザーインターフェースにおける変更などが事前に判明するなど本イベントで得られるはずのサプライズがそがれた印象はあったものの、正式発表を通じて判明した幾つかの事実を通して「次の世代のWindows」に関するマイクロソフトの考え方が明らかになった。

ついに正式発表された「Windows 11」
ついに正式発表された「Windows 11」
(出所:マイクロソフト、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]

 Windowsの「UI/UXの一新」を目標にしたプロジェクト「Sun Valley」(開発コード名)の成果は、本来予定されていたWindows 10Xがキャンセルされたため「Windows 11」という形で登場することになった。新しい形式のUIを搭載したWindows 11は間違いなく今後10年先を見据えたアプリケーションの動作基盤となる。それは、マイクロソフトがWindows 11の動作要件を一気に引き上げたことにも垣間見える。

アプリの間口は広く、ハードは10年先を見据える

 今回、マイクロソフトはソフトウエア面とハードウエア面で真逆のアプローチを採っている。ソフトウエア面ではWindows 10以前まで存在したMicrosoft Store経由でのアプリケーション配布制限を取り除き、パッケージ化されていないソフトウエアの流通や独自の課金システムの採用、「ストア内ストア」によるアプリ配布など、かなり柔軟性を高めている。

 しかも「ストア内ストア」の部分については「Amazon App Store」と連携して「Android」アプリのWindows 11マシンへの配布が可能になっており、その動作についてもWindows 11内にアプリ動作用のサブシステムを搭載する念の入れようだ。

 マイクロソフトはWindows 8以降、「モダンアプリ」を標榜して「WinRT」と呼ばれるAPIや新しいUIデザインをアプリ開発者に強要し、不評を買った。こうした経験を経てWin32 APIを利用した従来のアプリケーションを取り込むべく少しずつ調整を続けてきた同社にしてみれば、これまでWindowsで動作してきたすべてのアプリケーション資産に加え、すべてではないがAndroidアプリまで動作する基盤の確立は、「アプリケーション実行プラットフォーム」としてのWindowsをアピールするには十分だろう。

 一方でハードウエア面は一気に間口が狭まった。最低動作要件だが、2コア以上の64ビットプロセッサー、4GBのメモリー、DirectX 12以降が動作するGPU、そして問題となっているTPM 2.0サポート環境でのUEFIセキュアブート対応だ。

Windows 11の最低動作要件
Windows 11の最低動作要件
[画像のクリックで拡大表示]

 対応プロセッサーの一覧はマイクロソフトが公式サイト「Windows 11 Supported Intel Processors」で公開しているが、大ざっぱにいえば米Intel(インテル)は第8世代CoreプロセッサーのCoffee Lake以降の世代、米AMDはZen 2以降の世代となる。マイクロソフトはユーザーのPCがWindows 11準拠かどうかを確認するためのチェッカープログラムを公開したが、あまりに未対応PCの報告が相次いだためかプログラムの公開を一時中止し、「動作要件を見直しつつ、より分かりやすい形でチェックできるよう改良する」と約束している。