全1604文字
PR

 アイシンの「くるくるちゃん」は、自動車のドアハンドルの回転塗装に使う治具をコンベヤー上で回転させるからくりである(図1*1。いわゆる回転台で、作業者はパレットに載った治具をパレットごと手で回転させながら、塗装を終えたドアハンドルを1個ずつ取り外して検査する。「第25回からくり改善くふう展2020」の出展作品である*2

図1 くるくるちゃん
図1 くるくるちゃん
コンベヤー上で回転塗装用の治具を回転できるようにした。従来は、コンベヤーとコンベヤーの間に独立した回転台を別途用意していた。(出所:アイシン)
[画像のクリックで拡大表示]

*1 出展当時はアイシン精機。同社は2021年4月、アイシン・エイ・ダブリュと経営統合してアイシンとなった。

*2 からくり改善くふう展
工場の改善活動で生まれた「からくり」の展示会。日本プラントメンテナンス協会が主催する。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2020年度の同展は2021年3月23~26日のオンライン開催となった。50社が162作品を出展。

 同社衣浦工場(愛知県碧南市)では、自動車のドアハンドルの部品を製造している。その塗装工程で用いるのが回転塗装用の治具だ(図2)。円筒形の治具の外周に沿って複数のドアハンドルを取り付け、回転させながら塗装する*3

*3 回転塗装は、一般に塗膜の厚さを均一にしやすい塗装手法とされる。

図2 回転塗装用の治具
図2 回転塗装用の治具
ドアハンドルを取り外したところ。パレットに載った治具がコンベヤー上を流れる。この治具自体は回転機構を持たない。(出所:アイシン)
[画像のクリックで拡大表示]

 塗装を終えたら、治具に載せたまま乾燥させ、ベルトコンベヤーに載せて検査工程に流す。検査工程では、作業者がドアハンドルを治具から取り外し、目視で検査する。このとき、回転塗装のように治具を回転できれば、円周上のどのドアハンドルも取り外しやすい。これまでは、コンベヤーとコンベヤーの中間に独立した回転台を用意し、コンベヤーからいったん回転台の上に載せ替えた上で取り外しと検査を進めていた(図3)。

 具体的には、塗装後のドアハンドルを載せた治具がコンベヤーを流れてくると、作業者が治具ごと持ち上げて、回転台まで運んで載せる。次に手で治具を回転させながら1個ずつドアハンドルを取り外して目視で検査し、問題なければ通い箱に収納していく。全て取り外したら、治具を再び持ち上げてコンベヤーに載せて流す。ただし、治具の質量は13kgと重く、作業者の負担となっていた。

図3 改善前の作業イメージ
図3 改善前の作業イメージ
作業を上から見た様子。13kgの治具を人手で載せ替えていた。(出所:アイシンの資料を基に日経ものづくりが作成)
[画像のクリックで拡大表示]