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 「携帯ショップを運営する販売代理店への端末の卸価格が携帯大手の直販価格と同じになっており、同一価格で売った場合は粗利が0円になり得る」「回線にひもづかない端末のみの販売(白ロム販売)では利益が出ず、クレジットカード決済の場合はカード会社への手数料の分だけ赤字になってしまう」――。

 総務省が実施したヒアリングで明らかになった携帯ショップの目も当てられない実態。端末販売においては上記のような理不尽とも言える状況が生じている。卸価格と直販価格の一致は携帯大手が多額の販売奨励金を設定していた頃の名残とされ、このひずみが表面化した格好だ。端末と回線の「完全分離時代」に則した新たな販売形態に切り替えていく必要がある。

多くの販売代理店は困っていない?

 端末だけの販売では利益が出ないため、携帯ショップが端末販売を拒否するという珍現象が起こっている。

 携帯大手は将来の下取りなどを条件に端末を安く購入できる「端末購入サポートプログラム」を展開している。NTTドコモの「スマホおかえしプログラム」やKDDIの「かえトクプログラム」などだ。回線契約の有無に関係なく他社のユーザーも契約できるという立て付けにより、電気通信事業法で定める利益提供の上限(税込み2万2000円)を超えた割引が認められている。

 ところが、回線を契約せずに同プログラムで端末だけを購入しようとすると、携帯ショップに断られることがある。冒頭の通り、携帯ショップにとっては利益が出ないからだ。総務省の覆面調査によると、NTTドコモで22.2%、KDDIで29.9%、ソフトバンクで9.3%の販売拒否が確認された。「直営店ではないため、受け付けできないシステムになっている」など事実と異なる説明で販売を拒否していた。回線とひもづかない端末だけの購入が実質的にできないとなれば、端末割引の上限を超えるための潜脱的行為にも映る。

総務省の覆面調査によると、非回線契約者への端末販売拒否は最大3割に達した
総務省の覆面調査によると、非回線契約者への端末販売拒否は最大3割に達した
出所:総務省
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 ただ、一部の販売代理店からは疑問の声も出る。携帯各社の端末やサービスを取り扱う量販店はさておき、携帯大手の看板を掲げたショップで他社のユーザーが端末だけを売ってほしいとするケースは極めてまれ。確かにその場合は利益が出ず、赤字もあり得るが、「経営に打撃を与えるような話ではない」(販売代理店社長)。困っているわけでもなく、端末購入サポートプログラムによる利益提供の「抜け穴潰し」の議論にすぎないという見方もある。