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新型コロナウイルス対策として在宅勤務を中心としたテレワークが普及する一方、テレワークに取り組むビジネスパーソンにとってコミュニケーションは依然、大きな課題になっている。解決しないと業務の停滞などを招きかねない。そこでテレワーク先進企業の取り組みを中心に、課題の解決策を紹介する。今回は、「業務時間外のコミュニケーション」の活性化策を押さえよう。

 テレワーク先進企業はコロナ下、社内で不足しがちなコミュニケーションの活性化策を複数講じており、業務時間中だけでなく、業務時間外での工夫も凝らしている。具体的には部門内の雑談会や懇親会、全社規模の忘年会をオンラインで実施している。

 ここでは先進事例としてキリンホールディングス、ZOZO、そしてイーブックイニシアティブジャパンの3社を取り上げる。

 雑談会や懇親会については、キリンホールディングスとZOZOの取り組みを紹介する。忘年会は、ZOZOとイーブックイニシアティブジャパンが直近、オンラインで実施したものを取り上げる。各企業のコミュニケーションの工夫は、すぐにでも参考にできる点が多い。

人数を絞って対話、飲み物や食べ物で盛り上がる

 キリンホールディングスのコーポレートコミュニケーション部では、大規模にテレワークを始めた2020年4月から1年ほどの間、部内に複数あるチームの所属によらず、ランダムにメンバーを決めて、業務時間外に雑談をする雑談会を開いていた。

 コーポレートコミュニケーション部のメンバーはIR(投資家向け広報)やオウンドメディアなど、仕事の内容に応じて複数のチームに分かれて仕事をしている。そこで、各チームから1人ずつメンバーをランダムに選んで、4人程度のグループを設定。雑談会はそのグループごとに1時間程度、実施した。実施形態も、オンライン飲み会やランチ会、お酒なしの夕方の食事会など、グループごとに自由に決めた。

 雑談会に参加したキリンホールディングスの玉井邦明コーポレートコミュニケーション部主査は「コロナ下、対面で仕事をする機会が減っていた。担当する仕事も違うので交流を深めることも難しくなっていた。そこであるチームのリーダーが雑談をする機会を作ろうと企画した」と経緯を説明する。雑談会はWeb会議サービスを使い、顔出しで実施。普段の仕事の話をきっかけに、プライベートにも話が及んだという。

 玉井主査は「ランダムに選ばれた社員同士だったこともあり、出社していてもコミュニケーションをあまり取らないような社員と話す機会が得られた。4人程度で実施したことで、それ以上の人数で実施するよりも、コミュニケーションがより活発になった」と振り返る。

 Web会議サービスでカメラをオンにしながらコミュニケーションを取るのも雑談に向くという。オンライン飲み会になると、参加者がそれぞれ食べ物や飲み物を用意することになる。居酒屋などで開く飲み会のコース料理を一緒に食べるのとは違って「参加者が個々に食べたり飲んだりしているものが話題になって雑談が弾むことが増えている」と玉井主査は説明する。

 オンライン飲み会で音声だけでなくカメラの映像も使って行うと、食べたり飲んだりしているものを見せ合いながら雑談できる。「飲んでいるものの話題作りとして、スプリングバレー 豊潤<496>のようなクラフトビールを試すケースも増えている」と玉井主査は説明する。

自宅に届いた食事セットでグループ懇親会

 2020年春以降、在宅勤務を基本的な働き方に据える、ファッション通販サイト 「ZOZOTOWN」運営のZOZOも社員同士の横のつながりをより一層強める施策の1つとして、「FRIENDSHIP DAY」と呼ぶ懇親会を実施している。

 2020年秋の懇親会は新型コロナの影響で、オンラインで実施した。出身地が近いスタッフ6~8人を1つのグループにして150ほどのグループを作り、グループ単位でオンライン懇親会を開いた。千葉や茨城などZOZOの拠点がある地元の名品を集めた食事セットをスタッフの自宅へ事前に配送。懇親会を楽しんでもらった。

 ZOZOの梅澤孝之人自本部フレンドシップマネージメント部ディレクターは「共通点が多いと会話が弾み、語り合うことで一体感が出ると考えて、地元が近いスタッフをグループにした」と説明する。各グループの懇親会では、「通っていた高校が一緒だ」「住んでいる地域が近かった」といった地元に関するトークをきっかけに盛り上がって、仕事など様々な方向に話が弾んだという。

 こうした取り組みによって、オンライン懇親会の後、「コミュニケーションが取りやすくなって仕事を進めやすくなったり、他のスタッフに仕事をお願いしやすくなったりする効果が得られている。スタッフの仕事を進めやすくすることで、会社としても成長できる。コミュニケーションの活性化はとても大事だ」と梅澤ディレクターは説明する。