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 静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した大規模な土石流について、県や専門家は最上流部にあった盛り土の崩壊が引き金になったとの見方を示す。谷地形を埋め立てた盛り土が、長時間の雨で増加した地下水の流れをせき止めていたとみられる。

土石流の発生範囲と起点になった盛り土周辺の断面図。下段の図は、盛り土前の2009年と盛り土後の19年、土石流の発生後の標高を示す(資料:国土地理院)
土石流の発生範囲と起点になった盛り土周辺の断面図。下段の図は、盛り土前の2009年と盛り土後の19年、土石流の発生後の標高を示す(資料:国土地理院)
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 地盤工学を専門とする東京電機大学の安田進名誉教授は現場周辺について、「溶岩の上に火山灰や噴出物が広く堆積していて、もともと崩れやすい地質だった」と説明する。ただ、上空から被災地を視察したところ、土砂が崩れた箇所は他になかったという。土石流の発生には、盛り土という人為的な要因が大きく影響しているとみる。

 土石流が流れた場所は、急峻(きゅうしゅん)な山間地の谷地形だ。静岡県によると、土石流の起点では約5.4万m3あった盛り土がほぼ全て崩れた。流れ出た土砂の総量は推定で約10万m3に上る。

 安田名誉教授は「崩れた土砂は、谷の両側の土を削って体積を増やしながら流れた」と分析する。土石流が通った跡は地肌が広くむき出しになっていた。

土砂が崩れ地肌をさらしている。2021年7月4日撮影(写真:静岡県)
土砂が崩れ地肌をさらしている。2021年7月4日撮影(写真:静岡県)
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 土石流の流路の傾斜は約11度。起点から海岸までほぼ一定の角度を保っていた。土石流の勢いを弱める箇所が少なかったため、約2kmの区間を一気に流れたとみられる。

土石流の流路の地形断面図。縦横比は2:1(資料:国土地理院)
土石流の流路の地形断面図。縦横比は2:1(資料:国土地理院)
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