三菱電機でまた品質不正問題が発覚した。鉄道車両向けの空調装置と空気圧縮機ユニットにおいて不正な検査を行って納品していたことが明らかとなったのだ。不正に手を染めていたのは、長崎製作所(長崎県時津町)。30年以上にわたって続けられてきた組織的な不正だった。過去の品質不正問題を受けてこれまで3回にわたり品質保証体制の点検をしてきた同社。それでも今回の不正は見逃されてきた。なぜ、品質不正は繰り返されてしまうのか。不正の概要を解説するとともに、識者に見解を聞いた。(日経ものづくり)

特集
三菱電機の品質不正はなぜ起こったのか
目次
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ねつ造と改ざんの実態 品質監査もすり抜ける6つの手口
後編 検査不正の手練手管
検査不正の手口には、大きく「ねつ造」と「改ざん」に分けられる。それぞれについて手練手管を詳しく解説していく。
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「製品さえ良ければ」三菱電機の検査不正で見えてきた現場の論理
三菱電機は2021年7月2日、鉄道車両用の空調装置と空気圧縮機について、製造した長崎製作所による検査不正の内容を明らかにするとともに、執行役社長の杉山武史氏が引責辞任する考えを示した。検査不正の内容の説明と同時に、出荷後の製品について「空調装置の運用中の重大事故(発煙・発火・落下など)は過去少なく…
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検査不正の「リアル」 巧妙な手口を品質の門外漢は見抜けない
前編 品質監査が機能しない理由
品質不正問題は、組織内部に根深く巣くっている。従って、対策を考える上では、まず不正行為の「なまなましい実態(リアル)」を知ることが極めて重要だ。