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 新車の軽自動車の100%電動化と「乗用車の2030年度燃費基準」(企業別平均燃費基準方式、CAFE方式)をより確実に達成していく上で、期待されるアプローチの1つが高電圧の電源システムを用いたストロングハイブリッド車(ストロングHEV)の開発である。48VのストロングHEVでは、最高出力20~25kW級のモーターが現時点では現実的な上限とみられる。高電圧のストロングHEVであれば、もっと高い出力のモーターが使える。

 第2回でも触れたように、車両重量800kgほどの軽自動車の場合、減速・制動時のエネルギーを最大限に回生するためには、最高出力30kW強のモーターが必要となる。パラレルまたはシリーズパラレル方式の高電圧ハイブリッドでは、そのくらいのモーターを使えれば、48VのストロングHEVを超える燃費改善効果が狙える。

第2回 軽の電動化 ベルト駆動のMHEVは限界、48Vに期待か

 一方、シリーズ方式の高電圧ハイブリッドでは、最高出力40kW級もしくは同50kW級のモーターが望まれる。シリーズ方式では、基本的にはエンジンは発電専用。走行は基本的にモーターでまかなう。このことから、モーターにはエンジン車のエンジンと同等の出力が求められる。現状の軽自動車の最高出力は、自然吸気エンジンで40kW弱、過給機付きエンジンで47kWとなっている。

 幸いなことに、高出力のモーターが使える高電圧の本格的なストロングHEVは、その燃費性能の高さが既に登録車で実証されている。第1回でも紹介したように、トヨタ自動車のシリーズパラレル方式のハイブリッドシステム「THSII」、日産自動車のシリーズ方式のハイブリッドシステム「e-POWER」、ホンダのシリーズ方式のハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載している一部のストロングHEVは、既に30年度の燃費基準を満たしている。

第1回 軽の電動化 重くのしかかる30年度燃費基準

 従って、こうしたハイブリッドシステムを流用して軽自動車に搭載できれば、大幅な燃費改善が期待できる。第3回は、その実現の可能性をみていく。