全4998文字
PR

 20世紀最大の文明の利器である自動車。その世界が大きく変わろうとしている今、果たしておよそ実用車とはいえない嗜好品のスーパーカーに未来はあるのだろうか。

Ferrari(フェラーリ)の新プラグインハイブリッド車。スーパーカーのビジネスはフェラーリが切り開いてきた。(出所:フェラーリ)
Ferrari(フェラーリ)の新プラグインハイブリッド車。スーパーカーのビジネスはフェラーリが切り開いてきた。(出所:フェラーリ)
[画像のクリックで拡大表示]

 未来のスーパーカーを論じるにあたって、まずはスーパーカーの定義を確認しておきたい。私見では「6気筒以上のマルチシリンダーエンジンをリアもしくはフロントにミドシップする2シーターのクーペもしくはロードスター」である。

 けれどもそれではあまりに車種やブランドが絞り込まれてしまう。なので、本稿では便宜的にそういったクルマを現時点で生産中もしくは計画中であるブランド、というくくりで語ってみたい。

 具体的にはFerrari(フェラーリ)、Lamborghini(ランボルギーニ)、Maserati(マセラティ)、Bugatti(ブガッティ)、McLaren(マクラーレン)、Aston Martin(アストンマーティン)、Lotus(ロータス)、Porsche(ポルシェ)、Mercedes-AMG(メルセデスAMG)、Audi(アウディ)、BMW M、Chevrolet(シボレー)、Ford(フォード)、レクサスである。

 そのほか、Pagani(パガーニ)やKoenigsegg(ケーニグセグ)といったごく少量生産の超高額車メーカーも必要があれば、登場させたいと思う。もちろん近ごろブガッティをドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)グループから手に入れたRimac(リマック)のような電気モーターを積んだスーパーカーブランドも・・・・・・。

 定義を決めたところで、スーパーカーの未来を語るためにはそのビジネスの核心がどこにあるのかについてもはっきりさせておく必要があると思う。もちろん前述した条件を満たす高性能なスポーツカーというプロダクトそのものがまずは重要なわけであるが、実は高性能な商品だけではビジネスそのものは成立しない。

 過去にはスーパーなプロダクトの誕生をアピールするブランドがたくさん登場しては計画通りに生産することなく消えている。パガーニやケーニグセグのようにビジネスとして成立するほうがまれだ。

 なぜか。それはスーパーカーが“イメージ商品”であるからだ。付随する物語を付加価値として評価するブランドビジネスの1つ、だと言っていい。

(出所:フェラーリ)
(出所:フェラーリ)
[画像のクリックで拡大表示]

 どんなにすばらしく貴重な材料で作ったカバンだと作り手自らが必死にアピールしても「ヴィトン」や「エルメス」にはかなわない。

 それと同じで、「2000馬力の画期的なスーパーカーを開発、世界10台限定で販売価格はリーズナブルに3000万円から」と、名も知られていないブランドが発表したところで、その価値に見合う物語が背景になければ、ほとんど誰も振り向いてはくれない。

 逆にフェラーリがそういえば、10億円だって発表前に完売するだろう。