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 「ナビダイヤルでおつなぎします。この通話は、○秒ごとにおよそ○円の通話料金でご利用いただけます」

 このフレーズ、企業や官公庁のコールセンターに問い合わせた経験がある人ならば聞き覚えがあるだろう。番号が「0570」で始まる「ナビダイヤル」に電話をかけると流れる自動音声ガイダンスだ。

 総務省によれば、ナビダイヤルで使われている0570番号の使用数は2019年度末時点で1万6805件。2016年度末からの3年間で2割以上増加した。最近では各地の自治体が新型コロナウイルスのワクチン接種予約向けに導入するなど、様々な用途で利用が広がっている。

0570番号はワクチン接種予約窓口の連絡先で見かけることも多い
0570番号はワクチン接種予約窓口の連絡先で見かけることも多い
出所:防衛省
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 では、ナビダイヤルのアナウンスが2021年6月半ばから一部変更されたことはご存じだろうか。

 具体的には「およそ○円でご利用いただけます」の後に「なお、通話料定額プランの対象外となります」という一言が加わった。ナビダイヤルを提供するNTTコミュニケーションズ(NTTコム)に経緯を聞くと、携帯電話の料金競争が勃発した2020年末から検討してきた注意喚起策の一環なのだという。一体どういうことか。

「かけ放題だから大丈夫」ではない

 ナビダイヤルは「0120」の番号で始まる「フリーダイヤル」と同様に、企業や官公庁などが全国共通番号で電話を着信できるようにするサービスである。フリーダイヤルでは着信側が通話料を負担するため発信側に通話料がかからない。これに対してナビダイヤルは、原則として発信者が通話料を負担する仕組みだ。

 実は、ナビダイヤルの通話料は特別高いわけではない。例えば昼間に携帯電話から発信した場合は全国一律で20秒11円だ。一方、携帯大手が設定している標準的な音声通話料は30秒22円。ナビダイヤルのほうが下回っている。

ナビダイヤルの通話料の仕組み

 ナビダイヤルの自動音声ガイダンスには他にも不思議な点がある。その1つが「○秒ごとに」や「およそ○円で」といった通話料に関わる部分。固定電話からかけた場合、いつどこで電話したかによって中身が変わるのだ。

 というのも、固定電話からナビダイヤルへの通話料は時間帯や、発信側と着信側の距離に応じて変わるためである。例えば同一区域内なら3分9.35円(昼間)だが、100キロメートル超では22.5秒11円(同)と幅がある。同じナビダイヤルでも着信側が差額を負担することで一律料金としている場合もある。

 問題は、ナビダイヤルが携帯電話会社のかけ放題サービスの対象外で、どのプランに入っていても通話料が発生する点だ。そうとは知らずに長電話した人が後から通話料を高額請求されることがある。かねて消費生活センターなどに苦情が寄せられたり、SNS(交流サイト)で不満の声が上がったりしていた。通信各社による周知が不十分だった面もある。

 料金競争をきっかけに携帯会社を乗り換えたり料金プランを見直したりする消費者が増えれば、その分、ナビダイヤルで長電話してしまう人が増える可能性がある。そこでNTTコムは改めて注意を呼びかけることにしたのだという。それに加えてNTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社はワクチン接種の電話予約が本格スタートした2021年5月、それぞれの自社サイトでナビダイヤルが通話定額の対象外になることを改めて注意喚起した。