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 初々しかった新入社員も会社に入って数年たつと、職場にも慣れ、仕事も一通りこなせるようになる。ところが、同じ仕事を何年も続けていると、経験や知識、スキルは増える一方、ものの見方や考え方が凝り固まり、視野が狭くなる恐れがある。社員のさらなる成長には「惰性」からの脱却が必要だ。

 オリエンタルコンサルタンツ関東支社交通政策部技術主査の梅田祥吾氏は、交通安全対策などを検討するチームのリーダーとして、若手5人と毎週勉強会を開催。メンバーが持ち回りで新たな技術やツールなどを取り上げ、それをチームで共有する取り組みを進めている。若手に気付きや新たな学びのきっかけを提供するためだ。

オリエンタルコンサルタンツ関東支社交通政策部技術主査の梅田祥吾氏。2021年6月撮影(写真:日経クロステック)
オリエンタルコンサルタンツ関東支社交通政策部技術主査の梅田祥吾氏。2021年6月撮影(写真:日経クロステック)
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 「自分がこれまで仕事でつまずいた内容などをメンバーに紹介し、その突破の仕方などを伝えたいと思っている」

 こう語る梅田氏が勉強会で取り上げたテーマの1つが、プログラミング言語の「R」だ。R言語は統計解析に特化しているため、表計算ソフトのExcelでは対応できない大量のデータを処理できる。

 国や自治体は現在、カーナビなど車載情報機器から走行中の車の位置や速度といった「プローブデータ」を集めて分析し、交通安全や渋滞などの対策に生かしている。「あっという間に何百万、何千万、何億というデータ量になるので、Excelではとても太刀打ちできない」(梅田氏)。

 梅田氏自身、膨大なプローブデータの処理に困り、R言語を使い始めた。「若手に自分と同じ苦労をさせたくない」。そんな思いから、勉強会のテーマにR言語を選んだ。「土木技術者にあまり知られていないツールは多い。それらの存在を教えるだけでも、若手が自ら考えたり学んだりするきっかけになる」(梅田氏)。

 この連載では8回にわたって、人材育成に定評のある技術者らの「人づくり」を紹介してきた。技術者らにも、梅田氏と同様の思いがある。その思いをかなえるために、様々な育成手法を取っているといえる。以下、これまでに紹介した考え方や取り組みを通じて、「人づくり」の7つのポイントを探る。