NTTドコモが健康管理など健康分野の事業を再スタートさせた。同社はオムロン ヘルスケアとの共同出資会社を2012年に立ち上げ、健康分野の事業を手掛けてきた。だが、20年4月に共同出資会社をドコモに吸収し、それを機に提供サービスの見直しを実施。さらに21年4月にはメドレーと資本・業務提携することで、オンライン診療を起点に医療分野へ参入することを発表した。ドコモの狙いはどこにあるのか――。
ドコモが現在手掛ける健康・医療分野の事業は大きく2つある。1つは医療分野における商用5G(第5世代移動通信システム)の取り組みだ。5Gのネットワークを活用した遠隔手術支援を進めている。21年4月にはメディカロイドの手術支援ロボットを利用した実証実験を実施。執刀医が遠隔地に設置した手術支援ロボットをリアルタイムで操作できたことを確認した。
もう1つが今回再スタートさせた事業である。20年4月に新設した同社のヘルスケアビジネス推進室が手掛けている。健康分野と医療分野の支援を一気通貫で実施するサービスを構築する。具体的には健康管理アプリ「dヘルスケア」をベースに、オンライン診療などを組み合わせる。
dヘルスケアは、利用者が歩数や体重を計測したり健康に関するクイズに答えたりすることで、買い物などに使えるdポイントを得るサービスだ。ダウンロード数は800万を超えており、アプリを利用すると得になることを訴求して健康増進につなげる。「自分の健康に関心がない人でも、ポイントがたまるとしたら興味をもってくれるかもしれない」(NTTドコモ ビジネスクリエーション部ヘルスケアビジネス推進室長の出井京子氏)。