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 携帯大手のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが健康・医療分野の事業に本腰をいれて取り組んでいる。3社の中で健康と医療を一気通貫で支援する新サービスの開始が早かったのはKDDIだ。オンライン診療を手掛けるMICIN(マイシン、東京・千代田)と連携し、2021年6月に健康増進を目的としたアプリ「auウェルネス」を通じたオンライン診療サービスの提供をスタート。9月からはオンライン服薬指導のサービスも始める予定だ。利用者の健康・医療分野の行動様式をスマホ起点に変える準備を着々と進めている。

KDDIが開始した健康から医療分野まで一気通貫のサービス
KDDIが開始した健康から医療分野まで一気通貫のサービス
(出所:KDDI)
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 KDDIの健康・医療分野の事業を率いるのは、19年6月に同社に入社したパーソナル事業本部 サービス統括本部 担当部長の田口健太氏である。KDDI入社前は野村総合研究所でヘルスケア事業の調査やコンサルティングを手掛けていた。「デジタル技術を用いて健康や医療業界を変えるには、個人へのアプローチが重要と考えていた。転職するなら個人との接点がある携帯大手などインフラ系の会社と決めていた」と田口氏は振り返る。

 これまで医療のデジタル化の主体は医療機関だった。医師に紹介されなければ、患者がスマホを使ったサービスを利用する機会は限られる。携帯大手はそれぞれ数千万人の利用者とのつながりがある。個人に直接アプローチすることで、利用者や患者が望めばサービスを利用できる仕組みを構築しやすいと考えられている。

 KDDIと提携したMICINも、携帯大手の利用者との直接的なつながりに期待する。21年6月に実施したKDDIとの記者会見でMICIN代表取締役の原聖吾氏は「オンライン診療は認知度の割に患者や健康に不安がある人が利用する機会が限られている。今回の連携で利用者にオンライン診療を一度体験してもらう接点を増やしていく」と話した。利用者にオンライン診療の付加価値を認識してもらい普及につなげる。